オーストラリアを訪問した小泉進次郎防衛相は、マールズ国防相と会談し、軍備拡張を進める中国への抑止力強化に向け、防衛協力をさらに深化させる方針で一致した。レーザー技術を活用した監視システムの共同開発や護衛艦輸出の推進などで、日豪は一層緊密に連携していくべきである。

小泉氏「新たな高みに」
インド太平洋地域の北に位置する日本と南に位置する豪州だが、中国の軍事力増強は共通の安全保障上の脅威となっている。両国は4月の防衛相会談でも、「特別な戦略的パートナーシップ」をさらに発展させるため、防衛協力強化に向けた協議を継続することで一致していた。
今回の会談では、レーザー技術やミサイル試験などの装備協力を一層拡充することで合意した。両国の防衛協力は新たな段階に入ったと言える。小泉氏は「日豪の防衛協力は新たな高みに達している」と強調した。
海洋国家である日本と、広大な大陸を有する豪州とは、それぞれ異なる強みを持つ。そうした特性を生かした連携は、相互補完的な安全保障協力につながる。
海上自衛隊の護衛艦「もがみ」能力向上型11隻の導入は、豪州の海上防衛能力の向上に大きく寄与するだろう。中国の海洋進出は年々活発化している。東シナ海や太平洋では空母を伴う海軍艦艇の活動が拡大し、台湾に対しては「武力統一」も辞さない姿勢を示して台湾海峡周辺で軍事演習を繰り返している。南シナ海では、歴史的根拠の乏しい「九段線」を掲げて広範な海域の権益を主張している。
さらに7月には、中国海軍の原子力潜水艦が南シナ海から南太平洋に向けて潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射し、地域の安全保障環境は急速に厳しさを増している。
豪州も中国の覇権主義的な動向への警戒を強めてきた。2007年には日米豪印戦略対話「クアッド」に参加し、21年には米英豪3カ国による安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」を発足させた。豪州のシンクタンク、ローウィー研究所も今年6月、中国が豪州を攻撃する能力は今後10年間で著しく高まるとの見通しを示している。
こうした情勢の中で、防空戦力の強化は喫緊の課題である。ロシアによるウクライナ侵略ではドローン攻撃が戦局を左右し、中東でもミサイルや無人機による攻撃の応酬が続いている。現代戦において防空能力は国防の要と言える。
レーザー技術を活用した監視システムの共同開発には、日本企業が参画する。空からの脅威を早期に探知し、迎撃する防空体制の構築に貢献するはずだ。また、複雑な地形と人口密集地域を抱える日本に比べ、広大な国土を持つ豪州は、長射程のレーザー装備の試験や実証実験などを行う上で優れた環境を備えている。
それぞれの強み生かせ
地域の平和と安定を守るためには、価値観と戦略的利益を共有する日豪が、それぞれの強みを生かした互助的な防衛協力を着実に積み重ねていくことが不可欠である。







