トップオピニオン社説クロマグロ 漁獲枠拡大の合意を歓迎【社説】

クロマグロ 漁獲枠拡大の合意を歓迎【社説】

 太平洋クロマグロの漁獲枠に関するオンライン国際会議で、30㌔以上の大型魚は2027年に26年比で25%増やすことで合意した。

 7月の会議ではメキシコの反対で合意できなかった。異例の再開催ではあったが、合意に達したことは朗報だ。

回遊するクロマグロ
回遊するクロマグロ

7月はメキシコが反対

 太平洋中西部の漁獲枠は大型魚が年1万1869㌧から1万4836㌧に拡大された。一方、30㌔未満の小型魚は資源確保のために6%減らし、5125㌧から4823㌧とした。日本は今後、韓国と台湾との間で配分比率を交渉することになる。

 クロマグロは高級なすしネタとして国内外で人気がある。漁獲量が増えれば、消費者にもっと身近になるだろう。今回の合意を歓迎したい。

 長崎市で7月に開かれた国際会議では、日本が示した今回と同じ案にメキシコが終盤で反対して合意できなかった。本国からの強い指示で増枠を主張したためだ。日本は会議後に山下雄平農林水産副大臣をメキシコに派遣して交渉し、今回の合意につながった。

 かつて太平洋クロマグロは、乱獲で生息数が大幅に減少。10年の資源量は、1983年以降最少の1万2275㌧まで落ち込んだ。このため2014年12月、15年から30㌔未満の漁獲量を02~04年の平均比で半減させる規制強化が決定された。

 これによって資源量は急速に回復し、22年には14万4483㌧と過去最多の水準となった。21年からは段階的に漁獲枠が増えている。近年は全国各地でクロマグロによって漁具が壊されるなどの被害が多発する一方、沖合の定置網に入ったクロマグロは、漁獲枠に制約があるために放流せざるを得ない。今回の漁獲枠拡大の合意は妥当なものだと言えよう。

 一方、近畿大は02年6月、世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した。完全養殖は卵から成魚まで人工育成するもので「近大マグロ」は海外にも輸出される人気商品だ。資源を適正に管理するには、養殖に力を入れることも重要だろう。

 水産物の国際管理はクロマグロのほか、ウナギなどでも行われている。昨年11月には、絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の締約国会議で、ニホンウナギを含むウナギ属全種を規制対象に加える改正案が提出された。否決されたが、世界有数の消費国である日本は資源管理を強化する必要がある。

 日本では、24年の供給量6万941㌧のうち約7割を輸入で賄っている。養殖に使われる稚魚(シラスウナギ)は乱獲の影響で個体数が大幅に減少し、不透明な取引も指摘されている。一方で今年5月、完全養殖ウナギの蒲焼きが世界で初めて一般向けに試験販売された。シラスウナギを人工孵化(ふか)させる完全養殖の拡大によって資源の回復に努めたい。

国際社会をリードせよ

 海に囲まれる日本は、豊かな海の幸に恵まれている。

 水産物の資源管理でも国際社会をリードする使命があると言えよう。

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