千葉県を記録的豪雨が襲い、10人が死亡した。
地球温暖化の影響で1時間に100㍉以上の猛烈な雨の降る回数が増えており、今回の事例は他の都道府県にとっても決して人ごとではない。被害を減らすための対策を強化すべきだ。

線状降水帯発生で冠水
千葉県では線状降水帯が断続的に発生し、記録的短時間大雨の速報が25回も発表された。千葉市中央区では1時間に115・0㍉の猛烈な雨が降り、この地点の統計史上最多記録を更新した。千島近海に中心がある高気圧の縁を回るように暖かく湿った空気が南東から流れ込み、北からの風とぶつかったほか、上空の寒気の影響で積乱雲がほぼ同じ場所で発生し続けたのが要因だ。
線状降水帯はこれまでも全国各地で大きな被害をもたらしてきた。7月に最大震度7の地震が発生した熊本県では、2020年7月に線状降水帯の影響で球(く)磨(ま)川(がわ)が氾濫し、多くの死者を出している。
ただ今回は、河川などの「外水氾濫」ではなく都市部特有の「内水氾濫」だった。千葉県内各地の市街地では雨水の排水が追い付かず、一気に冠水し、移動中の車が巻き込まれて水没し、複数の死者が出た。
冠水すると車のエンジンに水が入って立ち往生する間に水位が増し、水圧でドアが開かなくなって閉じ込められてしまう。国や自治体は豪雨の際の車による移動の危険性を周知徹底する必要がある。
今回の豪雨ではアンダーパスで水没したケースもある。死者が出たアンダーパスは、水位が上がった時に排水ポンプが自動で動くようになっていたが、停電のために作動しなかった。通行止めを知らせる電光掲示板も機能しなかったという。短時間で冠水したため、道路の封鎖もできなかった。
冠水の影響で多数の帰宅困難者が発生し、JR蘇我駅(千葉市中央区)周辺では一時約4000人が滞留。陸上自衛隊がバスなどで避難所への輸送支援を行った。成田空港(成田市)でも足止めされた約7000人が一夜を過ごした。
県内では3000台近い車両が路上に放置され、撤去が進んでいるものの、交通の妨げとなっている。県内の住宅の床上と床下を合わせた浸水被害は計約1500棟に上った。千葉市は豪雨に備え、排水路の整備などを進めてきたが、想定外の雨量でさまざまな混乱が生じたと言えよう。
避難指示の課題検証を
今回の豪雨では、今年5月に運用が始まった防災気象情報の「レベル5大雨特別警報」が初めて発表された。防災気象情報は大雨や河川氾濫、土砂災害など災害の類型と5段階のレベルを組み合わせたもので、自治体が避難指示などを出す場合の基準ともなる。警報を受けて自治体が出した避難指示について、対象範囲や時間帯が適切だったかなど浮き彫りになった課題を検証し、効果的な運用につなげなければならない。想定外の事態での適切な情報発信は簡単ではないが、被害を抑えるための不断の取り組みが求められる。







