トップオピニオン社説「山の日」10年 低山でも増えた遭難事故【社説】

「山の日」10年 低山でも増えた遭難事故【社説】

 きょうは「山の日」。「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する」日で、国民の祝日となって10年を迎えた。毎年行われる記念全国大会は、今年は岐阜県高山市で開かれる。

大行列の富士山登山客
大行列の富士山登山客

半数近くが60代以上

 岐阜県は日本のほぼ中央にあり、七つの県に囲まれた内陸県。全国で第2位の森林率を誇る。高山市から東に北アルプスの槍ケ岳、穂高連峰、乗鞍岳などがあり、西には白山、南に御嶽山を望むことができる。さらに県内には里山ハイクの名所も多く、国立・県立の自然公園も豊富だ。「岐阜県民の歌」には「岐阜は木の国山の国」とあり、山々と清流に育まれて、飛騨の木工芸、美濃和紙、さらには東濃の陶磁器、鵜(う)飼いなど伝統文化が受け継がれ、山の恵みを享受してきた。

 大会のテーマは「『木の国 山の国』の恵みを活かし、未来へつなぐ」。ロゴマークには3000㍍級の山々、県花「レンゲソウ」、県鳥「ライチョウ」、県木「イチイ」、県魚「アユ」、飛騨高山を象徴する人形「さるぼぼ」など、自然の恵みを配置してある。当日は高山市で記念式典や歓迎フェスティバルが開催され、乗鞍山麓五色ケ原の森散策や、新穂高ロープウェイ乗車と散策、ガイドとの高山街歩きなど、参加者は各種プログラムを楽しむことができる。

 ところで岐阜県山岳連盟が「ぎふ百山」を選定したのは1975年だったが、さらに93年に「続ぎふ百山」を選定した。それだけ山が多いということ。県境にも多く「ぎふ百山」には登山道がなくて登頂しにくい山も含まれている。

 近年、人気を呼んでいるのは低山ハイク。山梨県が2022年、冊子『やまなしハイキングコース100選』を作成し、無料配布したところ初版1万部が3週間でなくなり、新たに2万部増刷したがこれもすぐなくなった。主に1~2時間で登頂できる低山を、「富士山眺望」「森と渓谷」など6テーマ別に紹介したのだが、予想以上の反響だった。それだけ低山に人々が集まるようになった。その魅力が見直されているからだ。

 岐阜県でも南部の各務原(かかみがはら)アルプスや納(の)古(こ)山(やま)、両白山地の高(こう)賀(か)山(さん)、郡上市の銚子ケ峰など名山がたくさんあり、人気を呼んでいる。森や木を知るにはよい山々だ。だが、遭難者もまた低山で増えている。

 昨年全国で発生した山岳遭難者は3623人で、統計の残る1961年以降最多。遭難者が多かった山は秩父山系(171人)、丹沢山塊(168人)、高尾山系(106人)。

 渓(たに)も山も深くない高尾山系で106人というのは驚くべき数字だ。都心から日帰りで行ける近さで入山者も多いからなのだろうか。日本山岳ガイド協会では1500㍍以下を低山としている。年齢では全遭難者の半数近くが60代以上で70代が最多。

トレーニングが不可欠

 高齢になって趣味と健康のために登山をしようとする人がいるが、普段からトレーニングをしていない体は要注意なのだ。2~3時間も登れば、疲労で動きにくくなるということを忘れてはいけない。

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