最大震度7の熊本地震発生から10日が過ぎた。被災地では危険な暑さが続き、3日には熊本市で最高気温40・3度を記録。県内観測史上初の酷暑日となった。震災と酷暑の「複合災害」とも言うべき状況下で、県内では未(いま)だ4万戸以上で断水が継続している。

SNS上でデマが拡散
過酷な環境で特にダメージが大きいのは、高齢者や乳幼児など体力に不安のある人々だ。政府や自治体は被災者の命と健康を守る支援を迅速かつ適切に進めつつ、今後も起こり得る猛暑時の災害への対策につなげていくべきだ。
全国に大きな衝撃を与えた商業施設「イオンモール熊本」の爆発では、7人の尊い命が犠牲になった。現在は責任問題に焦点が当たっているものの、3000人超の利用客全員を約30分で避難させた点は、もっと高く評価すべきだろう。
大規模複合施設は災害時、避難所などの役割を果たすことに大きな期待が寄せられていた。今回の爆発事故が全国に不安を与えたのは否めない。だからこそイオン側の対応を検証し、今後の教訓や新たな防災マニュアルに反映させる必要がある。
阪神淡路大震災や東日本大震災、能登半島地震など、日本はこれまで多くの災害現場で辛酸をなめてきた。その苦い体験を共有し、防災・減災の取り組みへと昇華させてきたのだ。犠牲を犠牲のまま終わらせることは絶対にあってはならない。
こうした点で今後も大きな懸念材料となるのは、SNS上でのデマや誤情報の問題だ。能登半島地震では偽の救助要請が相次ぎ、警察が出動する事態も起きたが、今回も被災者を装った募金詐欺や全く別の商業施設の映像が「イオンモール熊本」として拡散されるなどのケースが散見された。再発防止は困難かもしれないが、今後も警鐘を鳴らし続ける必要があるだろう。
SNSや気象データなどから災害情報を解析する企業「スペクティ」は、ホームページ上で発表したリポートで生成AI(人工知能)による問題点を指摘。生成AIの回答を根拠に、本物の可能性が高い現場の映像を「過去のものだ」と断定して拡散する動きもあったとした上で「偽情報を疑うことと同じくらい、訂正の根拠そのものを確かめることが重要」と訴えている。
さらに懸念されるのは、被災地へのメディアの対応だ。災害関連のニュースは全国的に高い関心を集める。情報が錯綜(さくそう)しやすい中、テレビやラジオからの情報は被災者にとって命綱だ。
だからこそ「悲劇」や「美談」などのスクープを求め、被災者に不快感や精神的苦痛を与える取材や報道は、決してあってはならない。10年前の熊本地震では、報道陣の非常識な取材行動が批判を浴びたり、米軍輸送機オスプレイによる支援物資空輸への反発など政治的主張を織り交ぜた災害報道も目立った。
被災者に寄り添う報道を
被災地は見せ物ではない。しかし、被災体験を通じて「伝えたい」「話したい」という思いを抱く人々もいるだろう。メディアは被災者に寄り添った、価値ある報道を心掛けてほしい。







