高市早苗首相が、現在8%の食料品の消費税率を来年4月から2年間限定で1%に引き下げる方針を表明した。秋に想定される臨時国会に関連法案を提出し早期成立を目指すという。
物価高が続く中、低迷する消費を活性化させ、「強い経済」の実現を掲げる首相の覚悟を示すものとして評価したい。

財政規律無視と言えず
春闘賃上げ率は3年連続で5%以上となるなど高い伸びを維持しているが、物価高が足かせとなって消費には依然として力強さが戻らない。
その意味で、食料品の消費税減税は家計の負担軽減を通じて、低迷状態から抜け出せない消費を活性化することで「強い経済」の実現に資するものであり、また2月の衆院選の公約でもあった。
公約は消費税ゼロだったが、技術的また時間的問題から1%とし、残る1%分は中低所得者向けの現金給付という形で実質的にゼロを実現した形で、公約に違(たが)わないという首相の誠実さを示したものと言える。
もちろん、消費税は社会保障制度の安定財源であり、食料品対象だけでも年約5兆円の財源が減税で失われるため、懸念する声は少なくない。
首相はこうした懸念に対し、税収動向を見極めつつ、歳出・歳入両面の見直しを進めるとした。具体的には租税特別措置・補助金の見直し、外国為替資金特別会計の剰余金や独立行政法人からの納付金などの税外収入の活用といった取り組みをゼロベースで進める方針を示し、「市場の信認が得られるよう、赤字国債に頼らずに(財源を)確保する」(首相)。
税外収入だけでも2025年度見込みで約8・7兆円。その用途には、高市政権が力を入れる防衛分野や成長投資・危機管理投資なども十分予想されるが、少なくないとはいえ消費税減税の財源に「税収動向を見極めつつ、歳出・歳入両面の見直しを進める」とする首相の考えは財政規律を全く無視したものでないことは確かだ。
消費税率の引き下げは、1989年の消費税導入後初めて。2年限定の措置であり、社会保障制度の安定を損なうとまでは言い切れまい。「強い経済」実現への一つの手段として消費のギアチェンジを見たい。
消費税減税には、懸念がもう一つある。2年後に税率を元に戻せるのかという点だ。
元に戻すことは増税策を実施できるのかということだが、首相は会見で、財政の持続可能性を実現して市場の信認を確保していく観点から、「私が責任を持って確実に税率を戻す」と強調した。
公約の消費税ゼロを何としても実行しようとする首相だ。29年度からの本格導入を検討している中低所得勤労者への給付構想もあり、増税も確実に実施できるとの読みがあるのだろう。
円安に毅然とした対応
先月下旬に円が1㌦=164円近くまで下落した後、高市政権は米国と連携して協調介入を実施。さらなる物価高を招く円安に断固たる行動を示した。
毅然(きぜん)とした対応にも好感が持てる。






