トップオピニオン社説学力テスト 思考・表現力に課題残る【社説】

学力テスト 思考・表現力に課題残る【社説】

 文部科学省が7月、4~5月に実施した全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の平均正答率などを公表した。

 小学6年(国語と算数)と中学3年(国語、数学、英語)計約184万人を対象に実施された。中学校の英語は今回から「話す・聞く・読む・書く」の4技能すべてについて学習用端末を利用した出題・解答方式に全面移行した。

学力テストに臨む高校生たち
学力テストに臨む生徒たち

記述式正答率は4~5割

 各教科の平均正答率(国公私立)は、小6の国語が61・1%(13問中7・9問)、算数56・6%(16問中9・1問)。中3は国語64・2%(15問中9・6問)、数学57・4%(16問中9・2問)だった。

 知識を問う問題に比べて思考力・表現力を測る問題の正答率は小6算数で14・7ポイント、中3数学で23・7ポイント低かった。中3数学の文字式やグラフを用いて数学的に数値の求め方を説明する問題(正答率34・5%)では生徒の39%が無解答だった。

 昨年、出題傾向が従来の知識を問うものから思考力・表現力を測るものに方向転換され、正答数が減少したことについて文科省は「解答方式に慣れていないため、慣れれば正答率は上がっていく」というコメントを出していたが、正答率の向上は簡単ではないようだ。基礎的知識が薄い状態で思考力・表現力は発揮できない。

 平均正答率が4~5割台にとどまる記述式問題について、暗記にとどまらない「自分の考えをまとめ、表現する力」を学校現場でどう育てていくかが大きな課題である。

 3年ぶりに実施された中3英語は、個別の学力を正確に把握するため、生徒ごとに出題される問題の組み合わせが異なる「IRT(項目反応理論)」方式を導入した。目安平均は500点に設定され、今回は499点だった。

 文科省が目指している高校卒業時の英語レベルは、海外の同学年の生徒と英語で討論できるレベルといわれている。それには現行の英語の授業だけでは、とても到達できない。

 他の授業と連携して英語以外の知識を教えることも必要だ。海外の生徒から環境問題を問われても、社会や道徳の授業で学び考えたことがなければ、討論にならない。

 学力テストの目的は、義務教育の機会均等と水準の維持向上を目指して課題を検証し、各学校の授業改善につなげることだ。探究学習では、自分のなりたい人物像や地域貢献の仕方などについて、一つだけではなく複数の教科を通じて答えを導き出す必要がある。

生涯学び続ける力を

 学力テストを巡っては、2027年度から全教科で学習用端末を利用する方式に移行する計画だ。さまざまな理由で学校に通えない子供も参加しやすくなることが期待される。

 だが、正答率の数字や順位に一喜一憂するのではなく、いかにして生涯学び続ける力を持たせるかが問われる。デジタル機器の活用実態や家庭環境による格差といった要因を分析し、個々の子供たちの思考力をどう伸ばすかが重要だ。

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