トップオピニオン社説熊本地震 安否不明者の捜索に全力を【社説】

熊本地震 安否不明者の捜索に全力を【社説】

 熊本県熊本地方を震源とする地震が発生し、同県宇城市と氷川町で震度7の揺れが観測された。10人以上の死者のほか、多くの安否不明者が出ている。警察や消防、自衛隊などは地震の続発に注意しながら捜索に全力を挙げてほしい。

損傷したイオンモール熊本 爆発で建物が激しく損傷した「イオンモール熊本」=29日午後、熊本県嘉島町(時事)
損傷したイオンモール熊本 爆発で建物が激しく損傷した「イオンモール熊本」=29日午後、熊本県嘉島町(時事)

イオンモールで爆発

 イオンモール熊本(嘉島町)では約200人の避難後に爆発が発生。2階部分が崩落し、死者が確認されたほか、建物内部に取り残されている人がいる。日本製紙八代工場(八代市)でも煙突が倒壊し、死者や安否不明者が出ている。高市早苗首相は「この重大な局面に当たり人命第一の方針の下、政府が総力を挙げて対策を講じる必要がある」と述べ、早急な被害情報の把握や救命救助、良好な避難環境の確保などを指示した。

 熊本県では2016年4月14日と16日に、それぞれ最大震度7の揺れを観測した。直接死の4人に1人は、14日の前震でいったん避難したが自宅に戻り、16日の本震で犠牲になったことが判明している。気象庁は、今回の地震発生後1週間程度は最大震度7程度の地震に注意するよう呼び掛けている。十分な警戒が必要だ。

 避難所は約450カ所開設され、避難者は1万人近い。猛暑の中であり、熱中症対策が欠かせない。熊本県の小中学校の体育館などで冷房が設置されているのは13・4%にとどまる。このため文部科学省は、冷房のある普通教室を活用するよう関係自治体に通知した。大量の水や飲料の支援も急ぐべきだ。

 自宅が倒壊した場合、避難所を利用するのが基本だが、余震に対する恐怖から車中泊を選択する被災者もいる。車中泊で懸念されるのは、長時間同じ姿勢でいることで足の静脈に血栓ができ、肺の血管が詰まって呼吸困難などに陥るエコノミークラス症候群だ。16年の熊本地震では、車中泊した女性が死亡したケースもある。車中泊をする場合も十分な水分補給、そして小まめな運動を心掛けてほしい。被災自治体は車中泊の被災者にも支援が行き届くように、人数や避難場所などの把握に努める必要がある。

 前回の地震では、災害関連死が200人以上に上った。原因として一番多かったのは「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」であり、次に「避難所等生活の肉体的・精神的負担」となっている。

 ショックや恐怖を和らげるには、被災地を一時的に離れ、安全な場所の親戚宅などに滞在することも一つの方法だ。避難所では被災者同士のコミュニケーションも精神の安定を保つ上で効果がある。国や自治体は被災者のメンタルケアの充実に取り組まなければならない。

TKBの整備も不可欠

 避難所ではTKB(トイレ・キッチン・ベッド)の整備も被災者のストレスを軽減する上で重要だ。特にトイレが不潔な場合、被災者が利用を避けるために水分摂取を控えてしまうケースがある。これでは災害関連死を多発させることになりかねない。清潔なトイレのほか、温かい食事や簡易ベッド、寝具なども不足があってはならない。

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