わが国の国旗・日の丸を損壊する行為に刑事罰を科す国旗損壊処罰法が参院本会議で、自民、日本維新の会、国民民主、参政、日本保守の各党などの賛成多数で可決、成立した。
意義大きい法的保護
2012年に現首相の高市早苗氏が中心となり同様の法案を国会に提出してから14年という長い時間を費やしたが、日本の国旗を法的に保護し、尊厳を守ることのできる意義は大きい。
法案成立の障害となってきたのは、自民と長年、連立を組んできた公明党が「党で検討したことはない」とし、事実上ストップをかけてきたからだ。高市政権が発足し、新たな連立相手となった維新と国旗損壊罪を26年に制定すると合意したことで大きく動きだした。
連立組み替えの成果である。外国国旗の損壊罪が刑法にあるのに、日の丸にないのは「ダブルスタンダード」だと批判した国民民主も賛成した。
同法は「人に著しく不快または嫌悪の情を催させる方法で、公然と損壊、除去、汚損した場合、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金を科す」という内容。目的は「国旗を大切に思う国民感情」の保護にある。
国旗は国家の象徴だ。五輪やサッカー、野球などの国際試合で掲げられる日の丸に選手と観客の一体感が示され、国民のアイデンティティーが確認される。国旗を大切に思う感情が保護されることで他国の国旗を尊重する姿勢にもつながる。
野党議員らが反対した理由の一つは「立法事実(法制化の根拠となる事実)がない」というもの。しかし、09年夏、民主党(当時)が衆院選総決起集会で掲げた党旗が、国旗を切り刻んで上下につなぎ合わせた物だったことから批判が噴出。鳩山由紀夫代表(同)は謝罪した。1987年、沖縄国体の会場に掲揚された日の丸が引きずり降ろされて燃やされた。2008年、中国人が靖国神社で参拝客の日の丸を奪い踏みつけるなどの事件を起こした。事件が多発していないから国旗を守る法律は必要ないとの主張はおかしい。
「思想と良心の自由」や「表現の自由」を保障する憲法に違反するといった誤った意見が、立憲民主党や共産党、中道改革連合などから出された。立民の杉尾秀哉参院議員は、維新の議員が「今後、一層国旗を大切にする気持ちが醸成され、愛国心も醸成されていくと考えている」と述べたことに「内心の自由が侵害される恐れがある」などとし、繰り返し撤回を要求した。
維新の議員が応じなかったのは当然である。憲法のいう「自由」は公共の福祉に反しない限り保障される自由であり、国旗の損壊はそれに違反し社会秩序を乱すものだ。
また、愛国心の醸成につながるなら歓迎すべきである。第1次安倍晋三政権下で改正された教育基本法に記された「国を愛する態度を養う」という「教育の目標」にも合致している。
不十分なら改正せよ
法律には国旗保護の観点から不十分な点も残った。付則では法施行後3年をめどに見直しを検討するとしており、改正の準備も怠ってはならない。






