政府は経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」を決定した。高市早苗首相が自民党総裁選以来訴えてきた「日本と日本人の底力を生かし、総合的な国力を徹底的に強くしていく」との理念を冒頭に据え、積極的な財政出動を可能にするため経済財政運営を転換した。日本を強くするチャンスとしたい。

危機管理投資で成長図る
2040年度までに官民累計370兆円超の危機管理・成長投資を行い、同年度に名目GDP(国内総生産)1100兆円に迫る成長を実現するという目標を掲げた。しかし、現時点で結果を論じることはできない。積極財政に「責任」を強調するものの財政規律の緩みを不安視する反応が先行し、円安進行や長期国債金利の上昇となって市場に表れたと懸念する指摘もある。
一方、骨太の方針を掲げた歴代政権の財政目標とした基礎的財政収支(プライマリーバランス)の単年度黒字化は、昨年発足した高市内閣まで実現しなかった。方針は緊縮財政、構造改革を進めた01年の小泉純一郎内閣で始まり、歳出を税収で賄えるかを示す基礎的財政収支の単年度の黒字化を目指してきた。
今回の方針には「一時的な悪化も許容」の文言が入った。01年以来、四半世紀にわたって同じことをしてきたのであり、複数年で管理するのは一つの現実的な選択である。新たな財政目標を「地方と国の総債務残高対GDP比の安定的低下」とした。
この数値は方針開始当時から見ても悪化している。国と地方の債務残高は03年度に700兆円に迫り、24年度は1315兆円で約2倍になったのに対し、GDPは500兆円台から600兆円台への伸びにとどまっている。
税収は01年度に約48兆円、25年度は約84兆円と増加した。この勢いが加速するように、長年の緊縮、財政健全化の路線より成長を促す大胆な手法を採用する今回の方針は、政治主導の発揮なくしてできないものだ。「経済財政運営の在り方そのものに関するコペルニクス的転回」を必要とする時代であると強調しており、従来の方針を踏襲しても経済も財政も好転しないという危機感が表れている。
具体策として上限を設けない「強く豊かな日本」投資枠を創設し、経済安全保障上、特に重要な分野には返済財源のある「つなぎ国債」の発行で必要資金を前倒しで調達し、特別会計で別枠管理するとしている。
もっとも、返済財源として想定される税外収入は数兆円規模に限られるとみられ、将来の税収も期待通りに増えるかについても、十分な説得力を備えているとは言い難い。
年間約25兆円ほどと見込まれる「危機管理・成長投資」によって強い経済成長をもたらし、税収が増えるまで相応の年数を要するが、その実現こそが政権に問われる最大の課題である。
国民の活力発揮させよ
しかし、高市政権の強みは衆院選で大勝し、予算に関して優先権のある衆院で与党が圧倒的多数を占めたことだ。選挙公約を反映した方針に基づき予算案が編成される。投資を受ける民間、すなわち日本人の活力を発揮させるべき時である。






