トップオピニオン社説W杯閉幕 日本は「個」の力を高めよ【社説】

W杯閉幕 日本は「個」の力を高めよ【社説】

 サッカーの4年に1度の祭典、ワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会が幕を閉じた。決勝戦ではスペインがアルゼンチンを破り、4大会ぶり2度目の優勝を果たした。

ワールドカップ(W杯)北中米大会から帰国したサッカー日本代表の森保一監督(右端)ら=2日、東京・羽田空港(時事)
ワールドカップ(W杯)北中米大会から帰国したサッカー日本代表の森保一監督(右端)ら=2日、東京・羽田空港(時事)

日本はベスト32で敗退

 日本は、初のベスト8進出、そして優勝を目指して戦ったが、ベスト32で終わった。目標を達成できなかったのは残念だが、選手たちの粘り強い戦いぶりは、日本サッカーの将来に希望を抱かせるものだった。

 日本は今大会、「史上最強」と言われたチームで優勝を目指した。代表メンバー26人のうち過去最多の23人が海外クラブ所属の選手だった。一方、南野拓実選手や三笘薫選手といったチームの中心となるアタッカーを故障で欠き、主将を務めてきた遠藤航選手も直前で離脱するという事態に直面した。

 逆境の中でも、森保一監督が追求したのが「誰が出ても勝つ、誰と組んでも機能する」というチームづくりだった。主力の離脱に見舞われながらも、選手層の厚さと組織力が機能し、格上のオランダと互角に渡り合ったのはその成果と言える。

 また、過去7大会で1勝しかしていない「魔の第2戦」でチュニジアに勝利を収めたのも評価できる。強豪国との試合で善戦した後、日本は格下相手に足をすくわれることが多かったが、今回は4-0で圧勝した。過去の教訓をチーム全体で共有し、最後まで気を緩めなかったことは精神的な成長を示している。

 スウェーデンとの第3戦も、高さでこじ開けようとする相手に対し、粘り強くしのいで引き分け、1次リーグ突破を決めた。森保監督の掲げた「凡事徹底」や「柔軟な戦術対応」といったコンセプトを、選手たちが理解し実践した結果だ。

 ただ、それでも決勝トーナメント1回戦の壁は越えられなかった。ブラジルとの戦いで明らかになったのは「個の力」の差だ。トーナメントを勝ち抜いていくには、チームとしての戦略や選手起用方法の成熟だけでは足りない。それらに加えて、1人で局面を打開する力や、相手ストライカーを1人で食い止める力が求められるのだ。

 日本サッカーはこれまで、個人の能力差や体格差を「組織の力」で補う積み重ねによって成熟してきた。前回カタール大会でドイツやスペインを撃破したように、「組織の力」で世界との差を埋めてきた。

 だが、その「組織力」を生かしてW杯を勝ち抜くためにも、一人一人のさらなるレベルアップが必要だ。今後は、三笘選手らのような欧州最高峰のクラブで主力を担う選手をもっと増やしていかなければならない。世界のトップ選手たちと競い合い、そのスピードや強度を常に体験してこそ、国際大会で他国の選手と渡り合えるようになるからだ。日本サッカー協会には、選手の海外挑戦を後押しする環境整備を求めたい。

組織力と「個」の融合を

 日本が積み上げてきたことは世界で通用するようになっている。今後は、個の力をもっと高めなければならない。組織力と個の力を融合させ磨き上げた先に、世界一への道が開かれる。

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