トップオピニオン社説海の日 海洋立国の自覚深めたい【社説】

海の日 海洋立国の自覚深めたい【社説】

 きょうは「海の日」。日頃忘れがちな海からの恩恵に感謝し、海洋立国・日本の自覚を新たにしたい。

ヤシの木のある白いすら浜
ヤシの木のある白い砂浜

祝日制定は日本のみ

 海洋は地球面積の7割を占める。計り知れない恩恵を海から受けているにもかかわらず、普段は陸の上で生活しているわれわれはそれを忘れがちだ。

 四方を海に囲まれた日本の繁栄は、海と切り離すことはできない。ある時は天然の防壁となるとともに、外につながる道であった。縄文時代の昔から、豊かな海の幸がこの国の人々を養ってきた。世界で唯一、海の日を国民の祝日に定める理由だ。

 米国のイラン攻撃でホルムズ海峡が封鎖される事態が発生し、世界が原油確保の危機に直面する中、出光興産のタンカー「出光丸」が、海峡封鎖後初めて名古屋港に到着したことが大きく報じられた。海上輸送が日本の産業、そしてわれわれの生活にとって死活的に重要であることを改めて思い知らされた人も多かっただろう。日本の貿易量の99・6%は海上輸送による。

 海運業は近年、船員の不足や高齢化などの課題に直面している。海洋人材の育成が急務だ。最近の若い人は、何日も船の上で過ごす海での仕事に就きたがらない傾向があるようだ。

 しかし、小さな時からの釣りや海水浴などの経験から海の仕事を志す人も少なくない。まず海に親しむことが海洋人材育成の第一歩だが、学校で海の魅力や重要性を伝えることも欠かせない。小中学校での海洋教育をさらに充実させる必要がある。

 日本はかつて世界一の造船大国だったが、現在は世界シェアの約71%を占める中国、約14%の韓国に抜かれ3位(約8%)に後退した。政府は2035年までに官民で1兆円規模の投資を行い、建造量を倍増させることを目指している。これまでの蓄積や技術力を生かし造船立国を復活させたい。

 ホルムズ海峡封鎖によって、われわれは航行の自由の重要性を改めて思い知らされた。安倍晋三元首相が掲げた「自由で開かれたインド太平洋」構想が、いかに先見の明を持つものであったかが分かる。この構想を実現するため、中国の覇権主義的な海洋進出を封じる施策を「法の支配」などの価値観を共有する国々と連携して進めていかなければならない。

 深海は地球上に残された最後のフロンティアだ。日本近海の海底には豊富な鉱物資源が眠っている。海洋研究開発機構などは今年2月、南鳥島(東京都小笠原村)周辺の排他的経済水域(EEZ)の水深約6000㍍の海底からレアアース(希土類)泥の試掘に成功し、商業化への開発が進められている。環境への影響を最低限に抑えながら海洋資源大国への道を一歩一歩進んでいきたい。

環境保護に努めたい

 海からの恩恵を最も身近に感じられるのは、新鮮で種類も豊富な魚介類を味わう時である。しかし、近年は気候変動や乱獲によってイカやサンマなどの漁獲量が激減している。海洋プラスチックの問題も深刻だ。海から恩恵を受ける一人一人が環境保護に努める必要がある。

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