国会会期末を前に、高市早苗首相と野党6党の代表が党首討論を行った。前回5月の党首討論の際に、各党の持ち時間が少なくテーマが細切れとなり、政策論議を深められなかったとの反省を踏まえ、今回は15分延ばして60分にしたものの実のある論戦には至らなかった。
追及不足の国民民主
党首討論は単なるショーであってはならない。経済、外交、安全保障、憲法や国家観などテーマごとに回数を増やして開催し、日本維新の会も参加して討論を充実させてはどうか。
日本の党首討論は、英国の二大政党制をモデルに2000年に導入された。英国では与党党首と最大野党の党首が1対1で激論を交わし国民の支持を競った。しかし、日本は多党化により6人の党首が順番に首相に質問して終わるという形式的なものになっている。
野党は今回、食料品の消費税減税、皇室典範改正案、衆院議員の定数削減、外国人問題、スパイ防止法などについて質問した。すべて首相肝煎りの政策だが、首相は明確な回答を避けた印象だ。
最初に論戦を挑んだ国民民主党の玉木雄一郎代表は、政府が先月末に示した経済財政運営と改革に関する基本方針「骨太の方針」の原案が長期金利の上昇をもたらしたとする「骨太ショック」について認識をただした。首相は「まだ閣議決定もしていない政府のただ一つの文書の原案がショックの原因だとは思っていない」と否定した。
だが、原案公表のすぐ後、政府が日銀の独立性に言及するなど金融政策の2カ所を修正することにしたのは、市場の反応に驚いたからだろう。玉木代表にはこの点を掘り下げて追及してほしかった。「今こそ成長のスイッチを押しまくる」と強調した首相に「気合と根性だけでマーケットは動かない」と反論するのが精いっぱいだったようだ。
皇室典範改正案に関して立憲民主党の水岡俊一代表は、旧宮家から養子に入る男性の子に皇位継承を認める規定について取り上げた。立民は、皇室が養子を迎えることを可能にする条項の削除を要求。女性皇族の配偶者や子供への皇族としての身分付与も検討するよう求めている。国家の形に関わる重大なポイントであり、水岡代表が追及すればするほど、衆院での同案採決に賛成した中道改革連合との隔たりが鮮明になった。
中道は現在、立民と公明党の3党で合流に関する協議体を設置。安全保障、原発など国家の基本政策に関する違いをどう取り繕えるか「野合ありき」の話し合いを続けている。皇室の将来に関わる重大な問題でも合意できるのか疑わしい。
大局的な議論もせよ
中道の小川淳也代表は首相に「読み物を読まないで、ライブ感のあるやりとりに協力してほしい」と迫ったが、「(自分も)メモを見ていた」と反論され、議場の笑いを誘った。
討論を盛り上げようとした意欲は評価する。しかし、取り上げられなかった日本を取り巻く安全保障問題や大局的な国家観などについての議論を活発化する努力もすべきだ。






