
航空自衛隊を「航空宇宙自衛隊」に改編することを盛り込んだ改正防衛省設置法などが成立した。
従来の陸海空の戦場に加え、今や安全保障における宇宙領域の重要性・緊急性が増大していることを踏まえたものだ。今年度中に発足する。宇宙作戦能力の強化を図る上で基盤的な支援体制が不可欠である。
新しい戦い方への備え
自衛隊の名称が変わるのは1954年の発足以来初めてだ。たかが名称だが、されど名称である。国家としての意思を内外に示し、安保における戦略環境の変化を国民に周知していく上でも、時宜にかなった施策だと言える。
すでに空自では、宇宙空間を作戦領域とする宇宙作戦団がある。2020年に宇宙作戦隊として発足して以来、東京都府中市の府中基地を中心に部隊の拡充に努めてきた。
今年度中には、自衛隊が初めて自ら保有・運用する衛星である「SDA(宇宙領域把握)衛星」の打ち上げが予定されている。新編後は空将を指揮官とする「宇宙作戦集団」として宇宙の状況把握や監視能力の強化を進める。
小泉進次郎防衛相が記者会見で「戦後、最も厳しく複雑な安保環境に対応できるよう組織を変革させる」と述べたように、狭義の「専守防衛」では対応できなくなっている。今や航空機による経空、艦艇など経海による侵攻といった従来の脅威にとどまらず、核を含めた弾道ミサイルや、情報・電子インフラの破壊、混乱を目的としたサイバー戦の比重が増してきている。
それだけではない。ドローン兵器など、いわば「新しい戦い方」への対応が迫られている。熊本県の陸自健軍駐屯地への新型地対艦誘導ミサイル配備をはじめとする反撃能力(敵基地攻撃能力)の整備はその表れと言える。
このような対応を円滑に進めるには、自前の情報衛星による監視体制、そして陸海空自衛隊とその他の機関との連携を迅速に強化することが必須の要件となっている。
「専守防衛」自体の是非論はあるとしても、わが国の防衛を全うして安全を守るには、有事やその前兆をキャッチできるウサギのような〝長い耳〟が欠かせない。「宇宙への軍拡」などといった一部の批判はお門違いだろう。
人材の発掘・増員を急げ
法改正では、防衛副大臣を現在の1人から2人に増員。那覇市に拠点を置く陸自第15旅団を師団に格上げする。また自衛官の処遇改善策として、退職後に支給する「若年定年退職者給付金」の水準を引き上げる。
日米安保を基軸としながらも、それだけに依存する体制からの脱皮は当然だ。同時に一国だけで平和は保てない。中国やロシアは他国の衛星を破壊できる「キラー衛星」の開発を加速している。同志国との情報共有・連携を深める上でも航空宇宙自衛隊の発足の意義は大きい。一方で自衛隊は特に「省人化」を余儀なくされている。サイバー戦に対応した人材の発掘・登用に政府として総合的に対応すべきだ。






