最高裁判所が宗教法人解散命令を巡る世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の特別抗告を棄却し、教団の宗教法人格の失効が確定した。安倍晋三元首相暗殺事件を契機に起きた教団に対する高額献金批判を受け、被害を償わせるという理由で岸田文雄内閣の下で手続きが始まり4年近く経過したが、何万もの信者らの人権が無視されかねないことは日本社会の盲点であり、禍根となる。
推量を根拠とした判断
決定は一審、二審に続いて民法上の不法行為の継続性の証拠がないにもかかわらず、推量を根拠としている。不確かな根拠で重大な決定を下すのは、教団に対する不信感、偏見などの感情を超えて「マインド・コントロール」批判などの影響が読み取れる。
「抗告人(教団)は、信者らによる不相当な献金の勧誘行為を防止するための実効性のある措置を取っておらず、今後も、信者らに対し、社会通念上相当な範囲を逸脱しない方法、態様による勧誘では達成できないような数値目標を定めて献金の勧誘を行うよう求めるおそれがあり、その場合、信者らは、上記勧誘行為を行う可能性が高いというのであるから、抗告人の上記のような行為に対処するには、抗告人を解散し、その法人格を失わせることが必要かつ適切であり、法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律に基づく措置を含め、他に実効性のある手段があるということはできない」
決定文はこのように述べている。まず、教団の2009年の「コンプライアンス宣言」以降に高額献金を巡る訴訟がほとんどなくなった事実を見れば、「実効性のある措置」は取ったとみてよいだろう。
それを認めず、「おそれがあり」「その場合」「行う可能性が高い」との仮定の話で解散決定をした。ずさんと言うほかない。信者らは〝洗脳され〟始末に負えないから解散にしてしまえと言うも同然で、その固定観念をもたらしているのが「破壊的カルト」などの風評である。
今回の決定に関与しなかったとされる沖野真已裁判官だが、2年前の日本弁護士連合会消費者セミナーで、「(家庭連合の)伝道や教化として言われる行為そのものが基本的に問題のある行為」であり、「信教の自由の侵害や、あるいは全人格的な侵害へとつながっている、そのような行為だと捉えられる」と発言したという。
どの宗教も布教や伝道で信者を増やすが、家庭連合の伝道が信者の「全人格的な侵害」につながるとの認識は、家庭連合信者を強制棄教させる脱会専門家が、信者の拉致監禁を正当化する理屈に用いる「マインド・コントロール」などの主張と一致する。
優生学と同じ轍を踏むな
「マインド・コントロール」は米国では「非科学的なもの」として法廷で否定されている。しかし、わが国でつくられた家庭連合解散の〝実績〟が、このような似非(えせ)科学の主張を勢いづかせかねない。かつてドイツで優生学が差別的な反ユダヤ主義と結び付いたことと同じ轍(てつ)を踏んではならない。






