
東京電力福島第1原発事故の廃炉作業で、東電は今月、2号機原子炉建屋の使用済み燃料プール内にある核燃料の取り出し作業を開始した。
溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しと並ぶ重要工程の一つと位置付けられており、リスク低減のためにも着実に進める必要がある。
28年度までの搬出目指す
東電によると、2号機プールには高い放射線量の使用済み燃料が587体、未使用の燃料が28体保管されている。燃料は事故前とほぼ同じ状態だが、地震などで損傷する可能性もある。作業では、トラブルが起きても危険性が相対的に小さい未使用の燃料から取り出すという。
2号機原子炉建屋は、炉内の核燃料が溶け落ち、今も放射線量が高い。このため、取り出し用のクレーンを遠隔操作し、プール内で燃料をキャスクと呼ばれる輸送容器に収納。キャスクをトレーラーに載せ、原発敷地内の共用プールへ移動して冷却・貯蔵する。
事故を起こした1~4号機のうち、4号機は2014年、3号機は21年に燃料の取り出しを終えている。東電は2号機プール内の燃料全てを28年度までに搬出する目標を掲げている。焦りは禁物だが、一日も早い廃炉実現に向けて地道に作業を進めてほしい。
ただ、廃炉作業が順調に進んでいるとは言えない。今回の燃料取り出しも当初計画から8年以上遅れている。
1~3号機に880㌧あると推計されるデブリの本格的な取り出し開始時期は昨年、当初の30年代初頭から37年度以降に修正された。
東電は51年の廃炉完了を目標としている。2号機のデブリの試験的取り出しでは、24年秋と25年春の2回で計約0・9㌘を採取。ウランが全体的に分布していることや人の力程度で砕ける硬さだったことが分かった。また3号機に関しては、充填(じゅうてん)剤でデブリを固める方法などを組み合わせ、建屋の上部と横から装置を入れて回収する方針を示している。準備に12~15年程度かかるというが、安全確保を最優先に取り組んでほしい。
福島第1原発の敷地では、処理水の海洋放出で空になった貯水タンクの解体作業が進んでいる。タンクは全体で1000基を超えるが、解体後の跡地にはデブリを一時保管する施設や、取り出し装置の整備施設などを建設する計画だ。
高市早苗首相は「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」と述べている。廃炉に向け、東電をしっかりとサポートする必要がある。
除去土壌の活用拡大を
復興という意味では、福島県内の中間貯蔵施設に保管されている除去土壌の処分も大きな課題だ。保管量は東京ドーム11杯分の約1400万立方㍍に上る。除去土壌は45年3月までに県外で最終処分することが法律で定められている。
26~30年度は「第3期復興・創生期間」と位置付けられ、除去土壌を公共事業で活用する方針が示されている。放射線量の低い除去土壌の利用拡大で最終処分の負担を軽減すべきだ。






