
2度目の失敗から半年。H3ロケット6号機の打ち上げが成功し、6号機は予定軌道に小型衛星6基を投入した。固体補助ロケットを使用しない低コスト型の試験飛行を兼ねた今回の打ち上げ成功は、信頼回復と共に当初の狙いである市場参入に向け大きな節目となった。これからが実力の見せどころである。
コスト半減の実現へ
H3は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発当初から衛星打ち上げ市場への参入を意図した2段式の液体燃料ロケットだ。
第1段に新型の液体燃料エンジンを導入して能力を向上する一方、部品数の削減や民生部品の積極採用により、先代のH2Aから大幅なコストダウンを図った。打ち上げる衛星の重さや投入軌道により能力とコストの異なる三つの形態がある。
今回の6号機は、液体エンジン3基のみの「30形態」で最もシンプルで低価格の構成。打ち上げ能力は最小だが、政府衛星に多い4㌧程度までの地球観測衛星には必要十分で、定常運用になれば当初目標の「H2Aの打ち上げコスト半減」をほぼ実現できる見通しだ。
本来の計画通りなら、こうした状況は5年前に達成できたはずだった。遅れた理由は、新型エンジンの開発に手間取った他、2023年3月の初号機と昨年12月の8号機打ち上げの思わぬ失敗などである。
初号機の場合は、H2Aで実績のある第2段エンジンが着火に失敗するという〝まさか〟のトラブルだった。電気系統でショートが起きたことまでは突き止めたが、数カ月たっても発生箇所を一つに絞り込めず、すべてに対策を講じたことが遅れの一因となった。
対策を講じた翌年の2号機からは5機連続で成功を重ねたが、昨年12月に8号機で再び失敗。今度は衛星搭載部の部品に不具合があり、飛行中の衝撃で破壊に至ったことが直接の要因と判明した。
もっとも、6号機は8号機の失敗から半年足らずという異例の早さで打ち上げられた。失敗直後のデータ解析などで原因を特定。その後、後続機用に製造、保管されていた搭載部の検査でほぼ全てに破損につながる剥離を確認し、補修などの早期の対策につながった。
また、液体エンジン3基を用いる今回の機体を初号機に次いで打ち上げる計画だったことも大きかった。初号機の失敗で順番が遅れたものの、鹿児島県の種子島宇宙センターで準備が進められていたからだ。
多様な能力に幅広く対応
今回の成功により、基幹ロケットとして衛星や物資を外国に頼らず運ぶ「宇宙輸送の自立性」を確保するとともに、市場参入に向け液体エンジン2基と固体補助を組み合わせた最強型(24形態)や標準型(22形態)と合わせ3形態が整った。
打ち上げ市場では米スペースXが圧倒的な力を持ち、参入は容易ではないが、「いろいろな能力に幅広く対応できるのがH3のチャームポイント」(14年の開発当初から10年、開発責任者を務めた岡田匡史JAXA理事)を武器に着実に実績を上げ、信頼を重ねていってほしい。






