
中国の習近平国家主席が北朝鮮を訪問して金正恩朝鮮労働党総書記と会談し、両国の友好関係を確認した。北朝鮮はロシアのウクライナ軍事侵攻に加勢する派兵を通してロシアとの蜜月関係を築いたのに続き、習氏との会談によって中国との経済関係を確保し、国力の安定を図るとみられる。
核開発抑える役割を放棄
習氏の訪朝は7年ぶりだ。初めての訪朝となった2019年には、トランプ米大統領が正恩氏とベトナムのハノイで米朝首脳会談を行うなど、米国との動きを気に掛けていた。今回はロシアとの関係を気に掛けての訪朝と見える。昨年9月の正恩氏の訪中に続く習氏の訪朝によって両国関係は改善基調にあるが、中国は北朝鮮の核開発を抑える役割を棚上げし、ロシアと関係を強化して核兵器保有国と自ら宣言する北朝鮮を追認したものだ。
北朝鮮が核兵器と弾道ミサイル開発に邁進(まいしん)したことを、中国は地域の安定を脅かす行動と捉えて歓迎しなかった経緯がある。北朝鮮の核実験やミサイル発射実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議に賛成し、北朝鮮にとって最も重要な貿易相手国である中国の制裁参加は大きな打撃だった。さらに、新型コロナウイルスの大流行による国境封鎖が両国の関係停滞の追い打ちとなった。
一方、コロナ禍が峠を越しつつあった22年2月にロシアがウクライナに軍事侵攻し、戦闘は長期化している。ロシアに対する激しい国際非難が起き、かつてない制裁措置が取られたが、安保理常任理事国であるロシアの拒否権発動によって国連は有効な制裁決議を採択できなくなった。
安保理の空洞化が進んだことは、核・ミサイル開発を制裁決議の中でも進めた北朝鮮には追い風になったと言える。さらに北朝鮮はロシアに対して弾薬を提供し、加えて派兵に踏み切った。ロシアとの血盟関係を築いたことで、極超音速弾道ミサイルや軍事偵察衛星などの軍事技術の提供をロシアから受けたとみられている。
習氏と正恩氏の関係強化で、北朝鮮に対する国連の制裁措置はますます空洞化していくことが懸念される。核兵器や弾道ミサイルの開発など軍拡によって自信を強める正恩氏は、祖父・父の悲願である「祖国統一」を憲法から削り、韓国内で北朝鮮との統一国家を目指す親北左派の運動家を驚かせた。
親北左派の代表格で南北融和政策を積極的に進めた韓国の文在寅大統領(当時)に対しても、最終的には口汚く罵る声明を発しており、統一政策を放棄した今日では韓国を「別国」であり「敵国」と呼んでいる。
民主主義国は結束強化を
北朝鮮とロシア、中国の3カ国の蜜月は長期化するとみなければならないだろう。朝鮮半島で民主主義国のフロントラインに立つ韓国を敵と見なす姿勢は、日本や米国に対しても当てはまるものだ。
盤石な安全保障を築くために手を緩めることはできない。太平洋からインド洋にかけての自由を守る民主主義国の結束強化が必要だ。






