
厚生労働省が発表した2025年の人口動態統計によると、一人の女性が生涯に産む見込みの人数を示す合計特殊出生率は1・14で、24年の1・15から0・01ポイント下がり、過去最低を更新した。低下は10年連続。少子化の流れを反転させるため、結婚・家庭の価値の再確立が急務だ。
止まらない東京一極集中
昨年国内で生まれた子供(出生数)は67万1236人で、前年比1万4937人減。統計がある1899年以降の最少を10年連続で更新した。出生数は1975年以降減少傾向にある。
出生率を都道府県別で見ると、沖縄が最高で1・52。宮崎1・46、福井1・45と続く。最も低いのが東京で0・96。3年連続で「1」を切った。続いて北海道と宮城が1・00だった。一極集中の流れが止まらない東京が、依然として人口の「ブラックホール」となっている。
国立社会保障・人口問題研究所が2023年に公表した将来推計人口のシナリオでメインとした中位推計では、25年の出生率を1・25と見積もり、出生数が67万人台になるのは40年としていた。今回、この推計より15年ほど早く少子化が進んでいることが明らかとなった。
第1子を産んだ女性の平均年齢は23年以降、3年連続31・0歳で晩産化の傾向は変わっていない。厚労省は「若年女性人口の減少や、晩婚化、晩産化が関係している。状況を重く受け止める」と述べている。
政府は昨年11月に人口減対策の司令塔として高市早苗首相を本部長とする「人口戦略本部」を設置。高市首相は会合で「わが国最大の問題は人口減少だ」と強調し、「誰もが自ら選んだ地域で住み続けられる社会を実現するため、対策を総合的に推進する」と述べた。
戦略本部は少子化の流れを反転させるための施策を進める一方、少子化が進む中でも、地方消滅の回避に取り組む考えを示している。少子化を前提とした施策を講じる動きは、経済界、地方自治体で強まっている。
当然そのための手を打っておく必要はある。しかし、政府はあくまで少子化の流れを反転させる強い意思を示して「静かなる有事」「わが国最大の問題」を克服すべきである。そのためには、これまでの少子化対策をもう一度、根本的に見直さなければならない。
政府が少子化対策の総合的な指針として策定した「こども未来戦略」は「若い世代の所得を増やす」「子育てを切れ目なく支援する」と共に「社会全体の構造や意識を変える」を掲げた。その「意識」の改革に、結婚や家庭の価値の再確立を据えるべきである。
価値否定は非婚化の一因
価値観が多様化する中、伝統的な結婚や家庭の価値を否定する傾向が非婚化、晩婚化の要因の一つとなっていることは明らかだ。少子化問題を語る時、識者らが「結婚や出産はそれぞれの選択だが……」と当たり前のことを言うのは、そのような風潮を意識したものだ。若い人たちが結婚できるように収入を増やすことは施策として最優先する必要がある。しかし、それ以上に結婚の意義や家庭の価値を再確立することが重要だ。






