
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)を巡って、想定される地震の揺れ(基準地震動)が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の設置変更許可を住民らが取り消すよう求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は訴えを認めた一審大阪地裁判決を取り消して住民側の逆転敗訴を言い渡した。
科学的な知見を重視した適切な判断だ。
「不合理な点認められず」
訴訟では、基準地震動を策定する際、過去の地震データに基づく平均値からのばらつきを考慮する必要があるとした規制委審査ガイドの「ばらつき条項」(2022年6月に削除)への考え方が焦点だった。
高裁はガイドの策定に関与した専門家の意見書を根拠に、条項が「平均値に上乗せする必要があるかを検討すべきだ」という意味とは言えないと指摘。関電は、関連するデータを保守的に設定することでばらつきを考慮しているとして、規制委の判断に「不合理な点は認められない」と結論付けた。
一審は20年12月、規制委が平均値に上乗せする必要があるか検討すべきだったのにしていなかったと判断。基準地震動の策定過程に「看過し難い過誤、欠落がある」として、東京電力福島第1原発事故後の新規制基準に基づく設置変更許可を初めて取り消した。
国側は、仮に基準地震動を超える地震が発生しても安全機能を直ちに喪失することはないと主張した。今回の判決は原発に関する高度な専門性を重視したもので評価できる。
かつては地裁が原発の運転差し止めなどを命じるケースも見られた。今回の訴訟の原告弁護団の中には、護憲運動団体「九条の会」の賛同者に名を連ねている弁護士もいる。
原子力は重要なエネルギー源だ。特定のイデオロギーを持つ反原発派が原発の運転を妨げようとしているのであれば容認できない。
もっとも、このところは新規制基準に適合していれば運転を認める判断が続いている。最高裁は1992年10月、伊方原発訴訟の上告審判決で安全基準の適合性について「科学的、専門技術的知見に基づく意見を尊重して行う行政側の合理的判断に委ねると解するのが相当である」との見解を示した。司法にはこの見解に沿った判断が求められよう。
「革新炉」の開発着実に
政府は昨年2月に閣議決定した新たな「エネルギー基本計画」に、データセンターの新増設に伴う電力需要の急増に備え、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発を「最大限活用する」方針を明記した。中東情勢が緊迫化する中、エネルギー安全保障の重要性は増している。原発は少量の燃料で長期間稼働でき、使用済み燃料も再利用できることから、原子力は「準国産エネルギー」と位置付けられている。エネルギーを輸入に頼る日本にとっては原発の「最大限活用」が欠かせない。
ただ福島第1原発事故後の日本で、原発への不安が根強いことも確かだ。安全性の高い「革新軽水炉」などの開発を着実に進める必要がある。






