総務省が発表した2025年国勢調査の速報値によると、人口減少の加速が顕著となった。少子化による「自然減」がその原因だ。
地方では少子化と人口減の流れは変えられないのではないかとの空気もあるが、少子化の反転を諦めてはならない。
過去最大の309万人減
速報値によると、外国人を含む日本の人口は1億2304万9524人で、5年前の調査から309万6575人減少。15年調査から3回連続のマイナスで、減少幅は最大となった。減少率も前回の0・7%から2・5%へと大幅に拡大した。
都道府県別では東京、沖縄を除く45道府県で人口が減少。秋田県の減少率が8・1%で最も大きく、減少率5%を超えた県が14県に上った。埼玉、千葉、神奈川、愛知、滋賀、福岡6県は増加から減少に転じた。
少子化の加速で死者数が出生数を上回る「自然減」の拡大が影響したとみられる。県外からの転入者が転出者を上回る「社会増」が続いてきた東京圏の3県が減少に転じたのは、社会増を上回るペースで出生数が減少しているということだ。
東京は増加しているが、増加数は19・9万人で前回調査の53・2万人からは大きく減少している。これも少子化の影響とみられる。発表を受け、木原稔官房長官は「人口減少が一層進展していることが裏付けられた。東京一極集中の是正に向け、人や企業の地方分散を図っていく必要がある」と述べた。
出生率が全国でも最低の東京に出産適齢期の女性が地方から転入することが、地方そして国全体の少子化の大きな原因となっている。東京一極集中を一刻も早く是正すべきだ。
ただ、人や企業を地方へという流れはあまりに弱い。もっとインセンティブを高める仕組みなり施策を講じなければ、東京から地方への強い流れは生まれない。加速する少子化、人口減の流れを反転させるには、さらに大胆で強力な施策が必要だ。
少子化による「自然減」を克服するには、出生数を増加させるしかない。若い世代が結婚し家庭を営み子育てできるように、経済的な支援は当然求められる。しかし、それ以上に、若い世代の結婚観や家庭観が、多様化を是認する風潮の中で揺らいでいることが大きい。政府を先頭に社会全体が伝統的な結婚や家庭の価値を重視し、若い世代の結婚を精神面でもバックアップしなければならない。
地方の工夫を期待したい
今回調査ではこの5年間で人口が1割以上減った市町村の割合が全体の27・7%を占めた。人口減の激しい地方では、これまで行ってきた行政サービスの提供を維持できるのかという問題に直面している。
全国知事会は昨年、人口の減少を前提に社会機能を維持する「スマートシュリンク(賢い縮小)」の視点をまちづくりに取り入れるよう国に提言した。地方の置かれた現状は切実なものがあり、早急な取り組みが求められることは理解できる。だが、少子化の流れを変える鍵は地方にあることを忘れてほしくない。地方には少子化反転のための工夫や独創を期待したい。





