トップオピニオン社説辺野古研修 教育基本法違反は重い判断【社説】

辺野古研修 教育基本法違反は重い判断【社説】

 文部科学省は、同志社国際高校(京都府京田辺市)が行った沖縄県名護市の辺野古沖での校外学習について、政治的中立を定めた教育基本法に反すると認定した。「研修旅行の内容は著しく不適切だった」として、府や学校法人に是正を求めた。極めて重い判断だ。

辺野古沖で転覆し、岸壁に引き上げられた「不屈」=16日午後、沖縄県名護市の辺野古漁港(時事)
辺野古沖で転覆し、岸壁に引き上げられた「不屈」=16日午後、沖縄県名護市の辺野古漁港(時事)

偏った教育を初めて認定

 調査報告は「さまざまな見解があることを生徒に十分に提示したことが確認できず、特定の見方・考え方に偏った扱いだった」と指摘した。教育基本法第14条は学校で「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない」と規定している。現行の教育基本法下で、政治的中立違反を理由に国が是正指導を行うのは初めてだという。

 基地問題を学ぶこと自体は否定されない。今回問題となったのは、学習内容が著しく偏り、しかも反基地活動に生徒を参加させる形になっていた点だ。今年の沖縄研修初日の開会礼拝で抗議船の船長が立ち入り禁止区域について解説した上で、「あえて入っていって抗議する。陸では警察機動隊に、海では海上保安庁に拘束される」など、生徒らを前にして〝違法行為宣言〟をしたことが分かっている。

 船転覆事故で亡くなった女子生徒の父親も、「特定の政治的立場に偏った活動を教師主導で行うことは教育基本法の理念に反する」と指摘している。極めて重い言葉である。

 深刻なのは安全管理のずさんさだ。文科省は、事前下見の欠如、教員が船に同乗しなかった点などを「著しく不適切」と断じた。生徒を海上活動に参加させておきながら、運航主体の法的資格や危機管理体制の確認すら不十分だったと断定した。

 学校側は「平和」の名目であれば何をしても許されるという思い上がりを捨てるべきだ。生徒の命と教育の中立性を守ることが、学校に課せられた責務だ。

 文科省は、学校の課外活動の安全管理や教育内容について全国調査を行う方針だ。辺野古の抗議活動を研修プログラムに取り入れている学校が複数確認されている。調査はできるだけ早く、徹底的に行ってほしい。

 文科省の判断について、一部の野党は平和教育への政治介入だと批判している。中道改革連合の小川淳也代表は「現場を萎縮させかねない」と反発しているが、見当違いだ。辺野古での反基地運動を学ぶのであれば、米軍や自衛隊施設、海上保安庁を訪れなければバランスが取れまい。特に沖縄では長年、「平和教育」と「政治運動」の境界が曖昧になっている。基地問題を語る際、自衛隊や日米同盟への否定的視点ばかりが強調され、中国の軍拡や東アジアの安全保障環境が十分論じられないケースも少なくない。

船運航関係者の捜査急げ

 国土交通省は、死亡した船長を海上運送法違反容疑で刑事告発した。転覆した2隻の船は運航に必要な事業登録をせず、生徒の輸送を繰り返していた。さらに、学校側から謝礼も受け取っていた。運航団体であるヘリ基地反対協議会、および事情聴取に応じていないとされるもう一人の船長に対しても捜査を尽くし、厳粛に対処してほしい。

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