中国の習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が北京の人民大会堂で会談し「公正な国際秩序」の構築に向け連携することで一致した。
ロシアはウクライナ侵略を継続し、中国は東・南シナ海で力による現状変更を試みているほか、統一に向けて台湾への軍事的威圧を強めている。その中露両国が「公正な国際秩序」を強調することは茶番だとしか言いようがない。

「新軍国主義」と対日批判
習氏は会談で「当面の国際情勢の下、両国はさらに公正なグローバルガバナンス体制の構築を推進すべきだ」と訴えた。プーチン氏は「中国と共に引き続き多国間協力を強化し、より公正な国際秩序(の構築)を推進する」と応じるなど、米欧主導の既存の体制に対抗する姿勢を示した。
共同声明では、米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。しかし、こうした言葉は中露にこそ当てはまるのではないか。
見過ごせないのは、「日本が現在進めている急速な再軍備路線が地域の平和と安定に深刻な脅威となっている」と日本を名指しで非難し、「新たな軍国主義と再軍備化を放棄するよう求める」と主張したことだ。
日本に「新たな軍国主義」は存在せず、地域の平和と安定を脅かしている事実もない。中国は高市早苗首相の台湾有事発言に反発し、このような批判を繰り返しているが、日本が防衛力を強化しているのは中国の覇権主義的な動きに対処するためにほかならない。台湾統一に向けて武力行使を放棄しないとする中国の方こそ軍国主義であり、台湾問題について「国家の統一に向けた中国政府の行動を断固支持する」としたロシアも非難に値しよう。
会談終了後に共同記者発表に臨んだ習氏は、中露の協力関係が「歴史的最高水準に達した」と強調。プーチン氏は「われわれは外部に影響されない貿易システムを築いた」として、ウクライナ侵略をきっかけとした米欧の制裁下で中国と強固な関係を築いたことをアピールするなど結束を誇示した。
実際は制裁などの影響による経済的な苦境で、ロシアは中国への依存を深めざるを得ない状況だ。だが今回の会談では、ロシアから中国に天然ガスを供給する新パイプライン「シベリアの力2」については完全な合意に至らなかった。エネルギー取引に関しては価格面などで中国に主導権があるようだ。
民主陣営は戦略的対応を
習氏とプーチン氏は蜜月を演出したが、中露が一枚岩とは言い切れない。ロシア連邦保安局(FSB)の内部文書は、中国を「敵」と呼び、中国が深刻な脅威だと警告したと報じられている。文書は、中国がロシア軍の作戦に関するスパイ活動を行い、ロシア極東への領有権主張の準備を進めているとも指摘しているという。ロシアでは中国に経済的にのみ込まれることへの警戒感も強い。
日米をはじめとする民主主義陣営はこうした点も念頭に、中露への戦略的な対応を進める必要がある。





