トップオピニオン社説1~3月期GDP 石油製品の供給不安なくせ【社説】

1~3月期GDP 石油製品の供給不安なくせ【社説】

 底堅い個人消費と輸出の拡大により緩やかな成長基調を維持し、心配された中東情勢悪化の影響は限定的だった――。

 2026年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値が示す日本経済の現状だが、緊迫化する中東情勢は依然打開が見通せず、今後影響の本格化が懸念される。政府は国民経済への影響を最小限にとどめるべく、石油製品の供給に万全を尽くしてもらいたい。

 予想上回る底堅い成長

 1~3月期のGDPは、実質で前期比0・5%増、年率換算で2・1%増で2四半期連続のプラス。需要項目のほとんどがプラスで、大方の予想を上回る伸びになった。

 内需の柱である個人消費は、0・3%増と5四半期連続のプラス。電気・ガス代の支援といった政府のエネルギー価格高騰対策やコメ価格上昇の一服、賃上げの継続などもあり、実質賃金は3月まで3カ月連続のプラスとなり、消費を下支えしている。食品の値上げが1~3月は前年比6~9割減と大幅に減少していることもあろう。

 設備投資も0・3%増。住宅投資は資材価格高騰や省エネ基準の変更に伴う駆け込み需要の反動減からの回復で0・5%増となった。

 1~3月期でとりわけ成長を牽引(けんいん)したのは輸出だ。1・7%増でプラスは2四半期連続。トランプ米政権による関税政策の影響が緩和され自動車など対米輸出が改善したほか、旺盛な半導体需要を反映し、対アジアを中心に拡大した。

 中東情勢の緊迫化を受けた原油価格高騰の影響が心配されたが、限定的だった。米・イスラエルのイラン攻撃(2月28日)からまだ日が浅く、速報値段階ということもあろう。

 懸念はやはり中東情勢悪化の影響が本格化するこれからだ。原油価格の高騰や石油化学製品の調達不安の影響が、メーカーをはじめ国民生活にも徐々に波及し始めている。

 プラスチックやゴム、塗料といった生活に欠かせない素材や製品は、原油から精製されるナフサが原料。ナフサはエチレンなどに分解された上で、それぞれの化学製品になっていくが、大手化学メーカーは3月に入り、調達不安からエチレンの減産を相次いで決定。その影響が次々と広がり、さまざまな資材の品不足を招いた。

 政府の備蓄石油の放出や原油調達先の多角化により、ナフサなど化学品原料の在庫は夏ごろまでは確保されたようだが、7月以降は見通しが立っていないという。

 大手食品メーカー、カルビーは印刷用インクの調達が不安定なため、一部商品のパッケージを白黒2色に変更する。大王製紙は紙おむつなどで15%以上の値上げを決めるなど、家計にも影響が及び始めた。政府は石油化学製品の調達にも万全を尽くし、物価高の抑制に努めてもらいたい。

 日銀は予断なく対処を

 イラン情勢悪化の今後の展開によっては、景気の下押し圧力が強まる可能性も予想される。金利の正常化を目指す日銀は、物価動向などを慎重に見極め、予断なく対処してほしい。

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