トップオピニオン社説党首討論 活発化へ双方が工夫せよ【社説】

党首討論 活発化へ双方が工夫せよ【社説】

党首討論で、国民民主党の玉木雄一郎代表(左)の質問に答弁する高市早苗首相=20日午後、国会内
党首討論で、国民民主党の玉木雄一郎代表(左)の質問に答弁する高市早苗首相=20日午後、国会内

 2月の衆院選後、国会で初の党首討論が行われた。過去最多の野党6党首と高市早苗首相との対決は、各党の持ち時間が少なかったためテーマが細切れとなり、討論というより質疑応答に終始してしまった印象だ。

 迫力欠け陳腐な質問

 野党には論戦を深める意識を持つことを求めたい。高市首相は質問を受けて回答するだけでなく、逆に切り返して問いただし議論を活発化させる工夫をすべきである。

 本来、党首討論は二大政党制を想定し国の将来像や針路について党首が論戦するために設けられた。政策の詳細については予算委員会など首相出席の場で議論するものとされていた。それが多党化により、持ち時間が所属議員数に応じて配分される結果、野党は自らの主張をアピールし、首相に質問するだけのパターンになったのだ。

 最初に討論に立った国民民主党の玉木雄一郎代表は、補正予算案の編成について新規国債を発行しないよう要請しつつ、ガソリンや電気・ガス料金への補助などとして3兆円規模の支出を提案した。また、中低所得の勤労者への5万円給付を求めた。ただ、財源を明示することはなかった。首相が財源について逆質問していれば議論を深められただろう。

 中道改革連合の小川淳也代表は、首相が補正予算の編成を今月中旬まで「考えていない」と述べていたのに、この討論の最中、大型連休前に事務方に検討を指示していたと明らかにしたことを「不誠実だ」と非難した。だが、それ以上の追及はなく迫力に欠けた。合流を目指す参院の立憲民主、公明両党と持ち時間を集約すれば国民民主の2倍の24分確保できたが、わずか10分の持ち時間では論戦にはならなかった。

 米中関係や日米同盟の在り方を質問した立民の水岡俊一代表の「21世紀は平和の世紀でなかったか。軍事費を抑え平和に向けた国際的な社会をつくっていこうではないかと提言すべきだ」との訴えには、時間切れのため、首相は司会役から一言で答えるよう促された。就任以来、外交戦略を積極的に展開し、大型連休中にはベトナムで「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の進化を含む新外交政策を打ち出した首相に対する質問としては陳腐だろう。

 短時間だったとはいえ意義があったのは、参政党の神谷宗幣代表との討論だ。神谷代表は外国勢力による影響工作を取り上げ、米カリフォルニア州アルケイディア市のアイリーン・ワン前市長が、中国政府の工作員(スパイ)として活動し有罪を認めたことを指摘。国政だけでなく地方政治にも外国勢力の浸透が著しいことから、スパイ防止法制定の過程で対応策を詳細に検討してほしいと注文した。

 スパイ防止策徹底を

 首相は公権力者の帰化歴の公表には慎重姿勢を示したものの、スパイ工作を国家の危機と捉えている点では神谷代表と同じ立場だ。政府のインテリジェンス(情報収集、分析)の司令塔機能を強化する国家情報会議設置法案が参院で審議中だが、スパイ防止対策の徹底は不可欠である。

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