文部科学省は中央教育審議会(文科相の諮問機関)の作業部会で、2032年度以降に高校で実施予定の学習指導要領で2、3年生が学ぶ国語の選択科目の再編案を示した。
人工知能(AI)やSNSの普及を踏まえ、時代に求められる思考力や感性、判断力、人間ならではの言語能力などをバランス良く育成することが欠かせない。
学ぶ科目に偏り生じる
再編案では「論理国語」「国語表現」「文学国語」「古典探究」の4科目から「現代の国語Ⅱ」「言語文化Ⅱ」「論説と批評」「対話と表現」「文学と叙述」「古典と文化」の6科目に変わる。再編案は作業部会で検討され、今年夏ごろにまとまる見通しだ。
現在は1年生で必修科目の「現代の国語」「言語文化」を学び、2、3年生は選択科目の4科目から、幾つかを選択して学習している。現行指導要領では実社会で使う国語力を伸ばす狙いで「論理」と「文学」を分ける改革が行われたが、現場からは「多様な文章に触れる機会が減った」などの批判の声が上がっていた。
文科省の推計によれば、論理国語を学ぶ生徒は77%、古典探究は87%に上る一方、国語表現は16%、文学国語は49%となっている。大学入試の出題傾向の影響で偏りが生じ、授業での「文学離れ」が進んでいることは見過ごせない。
再編案では、現代の国語Ⅱが論理国語と国語表現、言語文化Ⅱが文学国語と古典探究の内容をまとめるとしている。この2科目は文系理系にかかわらずバランスの取れた学習をしてもらい、これ以外の4科目は生徒の興味や志望に合った内容を学んでもらう狙いがある。小説などさまざまな文章に触れる機会が増えることは望ましい。
高校の国語科目は22年度に始まった現行指導要領で大幅に改革されたが、それを異例の短期間で変更することになる。学びの基本は「読む」(インプットにより記憶を定着)と「書く」(アウトプットで記憶を着実にする)と言われる。その意味でも、生徒が多様な文章を読んで読解力や思考力を伸ばすことは重要だ。生成AIが急速に普及する中、自分の考えを文章で表現する能力を育むことも大きな課題だと言えよう。
ただ、子供の読書時間は減少傾向にある。東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同調査によると、高校生の1日の読書時間は25年には11分だった。高校の国語の授業だけで読書習慣を身に付けさせることは簡単ではない。
読み聞かせで増える語彙
生まれた時から身の回りにインターネットがあり、スマートフォンに慣れ親しみ、日常的にSNSの短文のやりとりを行っているα世代(10~24年生まれ)の子供たちは、まとまった文章を読む機会が十分ではない。
活字に親しみを持ってもらう方法の一つとして、幼少期の本の読み聞かせが挙げられる。保護者と幼い子供が本を通じて心の交流を重ねれば覚える語彙(ごい)も増えるだろう。子供たちに読書の楽しさを知ってもらえるよう、学校だけでなく家庭でも取り組む必要がある。





