
トランプ米大統領が訪中し、習近平国家主席と会談した。両首脳が対面で会うのは昨年10月に韓国で会談して以来。会談の焦点は経済・貿易と台湾問題、イラン情勢への対応だった。 昨年10月の会談では、両国が実施していた規制や関税の凍結などで合意。今回の会談でも「貿易戦争」の再燃を避け、関係を安定させたいという点で両国の思惑は一致していた。
台湾問題では「恫喝」
特に中間選挙を控えるトランプ氏は「貿易問題が最重要」と述べ、多くの企業幹部を伴い訪中。中国は米国産の大豆や天然ガス、ボーイング機200機の購入を約束した。
一方、中国が最もこだわったのが台湾問題だった。習氏は「台湾問題は中米関係における最重要問題」であり「うまく処理すれば両国関係は安定を維持できる」が「処理を誤れば、両国はぶつかり合い、さらには衝突すらしかねず、両国関係全体が非常に危険な状況に陥るだろう」と述べた。
公式の会談では異例とも言える恫喝(どうかつ)に近い発言で、中国は米国の台湾向け武器売却に強い不満を示し、台湾問題への米国の関与を思い留(とど)まらせようとする姿勢を明確に示した。会談の冒頭部分をメディアに公開し、会談終了前に習氏の発言内容を公表するなど異例ずくめの対応を取ったことからも、「核心中の核心」である台湾問題では絶対に譲歩しないとの強い立場を示すことが中国の眼目だったことがうかがえる。
米国が台湾への武器売却を控え、中国の意向を汲(く)み取るようになれば、レーガン政権以来の「武器売却について中国とは事前に協議しない」との台湾政策からの大転換となり、日本を含む東アジアの安全保障に大きな影響を及ぼしかねない。トランプ政権の今後の動きを注視する必要がある。
会談で中国はイランの核保有を認めず、ホルムズ海峡は開放されるべきとの考えで米国と一致したが、中国が具体的な行動に出る可能性は小さいと思われる。中国は米国のイラン攻撃を国際法違反と批判しており、米国と一緒になってイランに圧力をかけたとみられたくもない。むしろ「公正な仲介者」として振る舞い、国際秩序の安定に努める大国とのイメージを世界に喧伝(けんでん)し、米国より優位に立ちたいというのが中国の真意だろう。
両首脳は「建設的戦略安定関係」の構築でも合意した。不安定な米中関係を、競争と協力が管理され、平和が見通せる持続的な関係へと転換させる取り組みだが、この新たな枠組みを発表したのは中国だった。イラン戦争が長期化し、中間選挙が迫るなど米側の苦しい立場を巧みに突き、中国が会談の主導権を握ったとの印象は否めない。
日米同盟に隙を生むな
今回の会談を踏まえ、中国が米国と並ぶ大国として、両国で世界を管理するという「G2」論が勢いを増すことも考えられる。米中が対等かつ互いに歩み寄れば、中国の対日姿勢が軟化する可能性は遠のき、日本の立場が苦しくなることが懸念される。日本としては米国との意思疎通を密にし、日米同盟に隙を生まぬ取り組みが求められる。





