
福島県郡山市の磐越自動車道で、私立北越高校(新潟市)の男子ソフトテニス部員らを乗せたマイクロバスがガードレールに衝突し、部員1人が死亡する事故が発生した。
高校とバス運行会社の双方とも安全対策が不十分だったと言わざるを得ない。
二種免許を所持せず運転
福島県警は、18人を死傷させたとしてバスを運転していた若山哲夫容疑者を自動車運転処罰法違反(過失運転致死傷)容疑で逮捕した。レンタカーを有償で運行する違法な「白バス」行為だった可能性もあるとみて、道路運送法違反の疑いでも捜査している。
バス運行会社「蒲原鉄道」(新潟県五泉市)によると、若山容疑者は同社の営業担当者が知人を介して運転を依頼した。旅客輸送に必要な二種免許は所持していなかった。若山容疑者は今年に入ってから複数回事故を起こしていたという。今回乗車していた生徒は「事故前にも危険な運転があった」と証言している。なぜ、必要な免許のない人物がバスを運転することになったのか。
バスの手配を巡って、運行会社と高校の言い分が食い違っているのも不可解だ。運行会社は「レンタカーや運転手の紹介を頼まれた」とする一方、高校側は「貸し切りバスの手配を依頼した」と主張している。
高校での記者会見に臨んだ男子ソフトテニス部顧問の教諭によると、同部は過去にも複数回、運行会社を通じ、遠征のバスを手配。そのたびに、同社からは「貸し切りバス」または「レンタカー代、人件費」の名目で請求書が送られていた。レンタカーを使うこともあったためとみられるが、教諭は「請求書の総額を確認するだけで、見逃していた」と語った。
また顧問教諭は、バスには荷物が多く、部員との同乗は断念したと説明した。会見前の保護者会では、参加者から「顧問が同乗していれば防げた」「教員としてどうなのか」との声が上がったという。
このことは、沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、同志社国際高校(京都府)の女子生徒ら2人が死亡した事故で、引率教員が船に同乗していなかったことと共通する面がある。両方のケースとも、生徒の安全確保を軽んじていたと言わざるを得ない。
運行会社も運転を依頼した際に若山容疑者の事故歴や持病について確認していなかった。十分に確認していれば、事故を防げたのではないか。
部活動の遠征中の交通事故は各地で生じているが、安全対策は現場任せとなっているのが現状だ。バスによる長距離移動を伴う遠征が頻繁に実施される中、費用を抑えるため、プロの運転手ではなく、顧問教諭が運転するケースも多い。
全ての学校で対策点検を
学校現場では、こうしたケースが常態化して安全対策がおろそかになっていないか点検してほしい。
安全と費用抑制を両立させるのであれば、遠征の回数を減らすことも選択肢だと言える。今回のような痛ましい事故を繰り返してはならない。





