茂木敏充外相がアフリカ4カ国を歴訪した。中東情勢などが不安定化する中、鉱物資源が豊富なアフリカとの関係強化は重要性を増している。中国がアフリカに対する影響力を拡大させる中、現地の経済成長に資する支援が求められる。
勢力圏を築いた中国
茂木氏はザンビア、アンゴラ、ケニア、南アフリカの4カ国を訪れ、経済安全保障分野での連携強化を確認。日本主導のアフリカ開発会議(TICAD)で培った信頼を武器に「アフリカのオーナーシップを大切にする」と訴えた。
TICADは1993年に始まり、現在は3年ごとに開いている。2016年8月に安倍晋三首相(当時)が「自由で開かれたインド太平洋」を最初に打ち出したのも、ケニアで開かれたTICADの場だった。安倍氏はインド洋と太平洋に面したアジアとアフリカを結ぶ地域を「力や威圧と無縁で、自由と法の支配、市場経済を重んじる場として育てる」と演説した。
また昨年、横浜市で開かれたTICADでは、石破茂首相(当時)がインドからアフリカまでを一つの経済圏と捉える構想「インド洋・アフリカ経済圏イニシアチブ」を提唱。日本企業による対アフリカ投資を官民で連携して拡大すると表明した。日本はアフリカ諸国との関係強化によってエネルギーや重要鉱物の調達先の多角化を進めるとともに、透明性の高い支援によってアフリカの成長と安定に貢献すべきだ。
アフリカでは中国が巨大経済圏構想「一帯一路」による勢力圏を築いている。中国は資源確保などを狙い、00年から3年に1度、「中国アフリカ協力フォーラム」を開催。レアアース(希土類)や、コンゴで採れるコバルトの大半を握り、敵対国への輸出停止などの「外交カード」として鉱山権益を活用している。高市早苗首相の台湾有事発言に反発する中国は、レアアースを含む軍民両用品の対日輸出規制を行っている。
アフリカ諸国は当初、中国の投資を歓迎したが、近年では劣悪な労働環境を問題視。対価の還元が十分ではなく、雇用改善や産業育成にもつながっていない。中国の支援を巡っては、支援対象国を借金漬けにし、返済が滞るとインフラの権益などを取り上げる「債務のわな」への警戒感も強い。
一方、日本は地域密着型の開発支援を進めている。ナミビアでは、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と豊田通商が、レアアース鉱山の開発に加え、雇用創出につながる精錬工場の建設も計画。今年度中に事業化評価の完了を目指す。国際協力機構(JICA)は貧困地域での農業の普及や観光業の発展などに取り組み、鉱物資源のみに頼らない産業育成に努めている。
人材育成への支援も
新興・途上国「グローバルサウス」の一角を占めるアフリカは、21世紀を通して人口の増加が見込まれ、世界経済の「最後のフロンティア」として注目されている。
日本はアフリカの将来を見据え、人材育成などの分野でも支援を進める必要がある。





