高市早苗首相が国会答弁で、台湾有事について「(自衛隊が集団的自衛権を行使できる)存立危機事態になり得る」と発言してから半年となったことを受け、中国が日本側に改めて発言撤回を求めた。
中国は日本への軍事・経済的威圧を強めているが、発言は従来の政府見解に沿ったものであり、撤回を要求し続ける中国の姿勢こそ問題だ。
「新型軍国主義」と批判
中国外務省の林剣副報道局長は今月7日の記者会見で、日中関係の悪化について「日本が本当に関係を改善したいなら、誤った発言を撤回し、実際の行動で中日関係の政治的基礎を守るべきだ」と強調した。
首相の台湾有事発言は、昨年11月7日の衆院予算委員会で立憲民主党の岡田克也元幹事長の質問に答えたもの。首相は、中国が軍艦などで台湾を海上封鎖し、これを解こうと来援する米軍への武力行使があった場合を取り上げて「戦艦を使って武力行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と述べた。
存立危機事態は、集団的自衛権の行使が可能になる条件の一つだ。米軍などへの攻撃を念頭に、安全保障関連法で「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされる明白な危険がある事態」と定義した。これを踏まえても首相の発言に特に問題はない。
しかし中国は激しく反発し、自国民への訪日自粛の呼び掛けやレアアース(希土類)の輸出規制などを打ち出した。極めて不当だと言わざるを得ない。さらに、日本で「新型軍国主義」が台頭しているなどと事実無根の主張を展開。極東国際軍事裁判(東京裁判)の開始から80年となった今月3日にも、一部の政治家らが靖国神社を公然と参拝して再軍事化を加速し、憲法修正を推し進めることで、日本自らが戦後掲げてきた「平和主義」に反していると非難した。
軍事的脅威を高めているのは中国の方だ。中国の習近平国家主席(共産党総書記)は2019年1月、台湾政策を武力解放から平和統一に転換した「台湾同胞に告げる書」の発表40周年記念演説で、台湾統一に向けて「武力使用を放棄することは承諾できない」と明言。22年10月の共産党大会でも「武力行使を決して放棄しない」と表明した。
米国などは、中国が人民解放軍の創設100年に当たる27年までに台湾武力侵攻の準備を整えるとして警戒を強めている。27年は習総書記の3期目最後の年。習氏は建国の父、毛沢東と並ぶ終身指導者を目指しているとされ、共産党の悲願である台湾統一に向けた成果を挙げれば4期目への強力な後押しとなる。
抑止力向上へ改憲実現を
日本最西端の沖縄県・与那国島は台湾から約110㌔しか離れていない。中国が台湾に侵攻すれば、与那国島を含む先島諸島の安全が損なわれかねない。
自民党は今年2月の衆院選で圧勝し、憲法改正発議に必要な3分の2以上の316議席を獲得した。首相は抑止力向上に向け、改憲によって集団的自衛権行使の全面容認を実現する必要がある。





