
東京電力柏崎刈羽原発6号機(新潟県)が4月、約14年ぶりに営業運転に移行した。
2011年3月の福島第1原発事故以降、東電が原発の営業運転を再開するのは初めてだ。中東情勢が不安定化する中、6号機の再稼働によって電力供給の安定性を向上させたい。
AI開発で需要増加
柏崎刈羽原発は、福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)で、12年3月までに全7基が停止した。6号機は17年に再稼働に必要な原子力規制委員会の審査に合格し、テロ対策の不備により事実上の運転停止命令を受けていた期間を経て、昨年12月に地元同意手続きが完了した。今年に入って再稼働した後もトラブルが続発し、ようやく営業運転にこぎ着けた。
6号機の出力135・6万㌔㍗は国内最大級だ。首都圏ではこれまで夏と冬に電力需給の逼迫(ひっぱく)を繰り返してきたが、6号機の再稼働によって需給に余裕が生じるだろう。東電は安全確保を最優先にしつつ、安定的な電力供給で信頼回復に努める必要がある。
政府は昨年2月に閣議決定したエネルギー基本計画で、二酸化炭素(CO2)を排出しない原発を「最大限活用する」方針を明記し、福島第1原発事故後の政策を転換。40年度の電源に占める原発の比率を現在の1割弱から2割に高める目標も掲げた。達成には国内33基の大半を再稼働する必要があるが、再稼働したのは今回の6号機を含めて15基にすぎない。特に東日本は再稼働が進まず、東電の電気料金は関西電力や九州電力より1割以上高い。
原発の燃料であるウランは、少量で大量の電気をつくることができ、1度の交換で1年以上発電できるため、「準国産エネルギー」と位置付けられている。中東をはじめ国際情勢が不透明感を増す中、原発の活用によってエネルギー安全保障を強化することは日本の存立に関わる重要課題だ。
現在の電源構成の約7割は液化天然ガス(LNG)などの火力発電が占めている。原発の活用が進めば、燃料の輸入に伴う「国富」の流出を抑えることもできる。
人工知能(AI)開発に必要なデータセンター増設などで電力需要の増加が見込まれる中、原発の重要性は高まっている。東電は29年8月以降の再稼働が予定されている柏崎7号機についても、着実に準備を進めなければならない。
また最先端半導体を巡っては、ラピダス(東京)が北海道千歳市の工場で27年度に2ナノ㍍(ナノは10億分の1)品の量産開始を計画している。30年度の道内の電力需要は24年度比で約12%増えるとの試算もある。北海道電力は泊原発3号機を27年早期に再稼働させる予定だ。旺盛な電力需要を支える基幹電源となることが期待される。
「核燃サイクル」実現を
政府は、使用済み核燃料を再処理して再利用する「核燃料サイクル」の実現を目指している。
日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の完成や、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定が急がれる。





