トップオピニオン社説私大大幅削減案 人材育成に資する再編を【社説】

私大大幅削減案 人材育成に資する再編を【社説】

 

 少子化の流れを受けて、政府は私立大学の統廃合や定員削減に向けた検討を進めている。

 このところ、地方の私大や短大が閉学に追い込まれたり、複数の大学が統合されたりする動きが進んでいる。大学の収入の大きな部分を占める受験費用、入学金、施設整備費、授業料などが定員割れによって減少しているからだ。

 5割強が定員割れに

 財務省は4月に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、2040年までに少なくとも250大学(私大数の約4割)、定員14万人程度の縮減が必要だと数値目標を示した。政府は今年度、私学助成金約3000億円を支出し、運営を手助けしている。

 25年度の日本私立学校振興・共済事業団の調査によれば、私大の5割強が定員割れに陥っているという深刻な状況だ。財務省がこのような数値目標を打ち出した背景には、定員割れした私大の講義内容が、助成金支出にふさわしいか疑問視していることがある。

 18歳人口は1992年の205万人から2024年時点で109万人にまで減少している。私立大学の数はその間にも規制緩和などで増え続け、1992年の384校から624校まで増加している。

 文部科学省も規模の適正化は不可欠だと考えているものの、「機械的に判断するのではなく、分野や地域のバランスを図ることが重要だ」(松本洋平文科相)として、数値ありきで縮減することに慎重姿勢を示している。文科省は、地域の人材需要に応える大学を重点的に支援するなど補助金の交付にメリハリを付け、経営難に陥る大学に撤退を促す計画を描いている。人材育成に資する私大の削減、再編を進めるべきだ。

 私大側も「座して死を待つ」という状況ではない。高校と連携して年末までに入学予定者を受け入れる学校推薦枠を設けたり、海外から留学生を受け入れたり、社会人の学び直しを受け入れたり、文系学部と理系学部を統合したり、さまざまな手を打っている。

 だが、どうにもならない事態に陥ることもある。大学がなくなって一番困るのは在学生だ。経営改善の見通しが立たない場合、急に経営破綻することのないように、資金の余裕がある間に撤退の判断を下すことが大学トップの責務だろう。

 縮減に向けた自治体の役割も大きくなる。地域の大学の再編などへの関与が求められよう。一方、私大の公立化は私学独自の学風を損なう恐れもあり、慎重に検討しなければならない。

 学生の学ぶ姿勢問われる

 少子化の中で、学生本人の姿勢が一層問われる時代になる。就職に有利だから大卒という学歴が欲しいのか、厳しい受験戦争を乗り越えて遊びたいのか、入学後何を学びたいのか、何を得たいのか、研究課題は何か、そのための準備はできているか、卒業後、社会に奉仕できる何かを得たいのか――目指すものはそれぞれだ。

 保護者をはじめ、小学校や中学校、高校の恩師、地域の社会に報いる学びの場を求めてもらいたいものだ。

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