日本国憲法が施行され、あすで79年を迎える。戦後80年の節目を越えた今日、国際秩序が揺らぎ、わが国を取り巻く安全保障環境も激変している。価値観も変容する中で、現実と乖離(かいり)した条文の改正や新たな条文の追加を求める憲法改正世論も着実に広がっている。最高法規の憲法について改正の是非を国民投票で問うため、国会が条文案を策定し発議することは、まさに国民主権を体現するものだ。
高齢化した護憲世代
昨今、国政選挙で改憲を公約の一項目に割く政党は増えて、国会勢力の多数になっている。一方で改憲に反対ないしブレーキを掛けるのはテレビ、新聞など「オールドメディア」と呼ばれるようになった一部のマスコミ、教職員組合、労働団体、日本弁護士連合会など法曹関係者、護憲政党の社民党、共産党など少数の野党だ。
とはいえ、かつて「反戦平和」をスローガンに改憲論を封じてきた護憲世論は一定の影響力を残している。電波や活字で、あるいは団体や組織の声明で発信する手段の有無が世論形成を左右した。戦後、共産主義・社会主義を支持して米国を「帝国主義」と批判する左翼思想が大学や労働界、マスコミ界に浸透。日本の武装解除を憲法で体制化した9条を「平和主義」と称賛して護憲運動を展開した。ただ、この世代は高齢化している。
今では若い世代の改憲支持が増えている。テレビ局や新聞社を通じなくても、個人が意見を発信するインターネットが発達し、ここでは「自衛隊が日本の平和を守っているのは事実。違憲論争に終止符を打ち、堂々と憲法に明記すべきだ」などの改憲論が、「9条は日本が世界に誇る平和憲法の象徴。これを変えれば、日本は再び戦争をする国になる」といった護憲論より優勢になっている。
また、各種世論調査でも改憲派が多数を占めている。改憲の国会論議について尋ねた時事通信社の2月世論調査では、51・4%が進展を「期待する」と答え、「期待しない」は23・1%、「どちらとも言えない・分からない」は25・5%だった。他の報道機関が行う世論調査でも、改憲を支持したり期待したりする回答が反対する回答を上回っている。
この傾向は2022年のロシア軍のウクライナ侵攻で、より顕著になった。弱い国は強い国にたやすく軍事侵攻される。第2次世界大戦以前の近代、前近代のような事態は、有事には国際法が通用せず自らが自らを守るしかない冷酷な現実を見せつけた。ネットで瞬時に世界の情報にアクセスできる時代、軍を持たないとする9条は「平和主義」どころか他国を異常なほど信頼する理想主義であり、現実離れした条文と理解する人が増えるのは当然だ。
速やかに条文案まとめよ
国民の負託を受けた衆参両院の改憲派の与野党議員は小異を捨てて協力し、改憲条文案を憲法審査会で速やかにまとめ、改憲発議を実現すべきだ。
国民に直接、改正の是非を問う投票を実施することにより、日本史上初めて国民が自ら憲法の条文を決めることは、国民主権行使の最高の形と言えよう。





