トップオピニオン社説後発地震情報 防災意識を高める契機に【社説】

後発地震情報 防災意識を高める契機に【社説】

 三陸沖を震源とし、青森県で震度5強の揺れを観測した4月の地震の際には「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表された。地震発生から1週間で特別な呼び掛けは終わったが、対象自治体では引き続き警戒を続けてほしい。

 政府は今回のケースを次の運用に生かす必要がある。

 1週間後まで呼び掛け

 北海道・三陸沖後発地震注意情報は、千島海溝、日本海溝沿いの北海道、三陸沖でモーメントマグニチュード(Mw)7・0以上の地震が発生した場合、気象庁が発表する情報。2022年12月に運用が始まり、昨年12月の青森県東方沖を震源とする地震で初めて発表された。

 大地震の発生可能性が平常時の「1000回に1回程度」から「100回に1回程度」に高まるため、北海道から千葉県の太平洋沿岸など7道県182市町村では1週間、平常の社会経済活動を継続しつつ、速やかに避難できる態勢が求められる。今回は4月20日午後4時52分ごろに地震が発生し、27日午後5時まで呼び掛けが続いた。気象庁と内閣府は、現金や身分証明書、常備薬などを携帯するほか、家族との連絡手段を確認するなどの対応を取るように促した。

 ただ、こうした呼び掛けが必ずしも住民の避難活動につながっていないとのデータもある。東京大総合防災情報研究センターのアンケート調査によると、「すぐに逃げられる態勢を維持した」は15・9%、「非常持ち出し品を常時携帯した」は8・5%だった。昨年12月に注意情報が発表された後の内閣府の調査では、「日頃の備えはなく、特に何もしなかった」が35%、「備えがあるため、何もしなかった」とした人も22%に上った。

 大地震の発生可能性は1%程度なので、冷静な対応が求められることは確かだ。ただ注意情報の発表を契機に、防災への意識を高めることは必要だろう。避難経路を改めて点検するなど警戒を強めてほしい。

 また、1%程度でも決して油断できないことは肝に銘じておかなければならない。そもそもこの注意情報は、11年3月11日にマグニチュード(M)9・0の東日本大震災が発生した2日前、宮城県・牡鹿半島沖でM7・3の地震が起きた例も踏まえて運用が始まった経緯がある。東日本大震災では、2日前の津波被害が小さかったため、震災による津波も「大したことはない」と考えて逃げ遅れた人も少なくなかった。

 今回の地震の震源近くでは、1994年に三陸はるか沖地震(最大震度6、M7・6)が発生した。政府の地震調査委員会によると、発生後30年以上、大地震が起きていないため、再来が懸念される。また、千島海溝沿いの北海道・根室沖ではM8前後の地震が起きる確率が非常に高いとの長期評価が公表されており、30年以内の発生確率は90%程度とされる。

 いま一度備えの確認を

 日本列島は四つのプレートが交差する世界有数の地震多発地帯であり、警戒が求められるのは今回の注意情報の対象自治体に限らない。

 一人一人がいま一度、大地震への備えを確認してほしい。

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