トップオピニオン社説3月日銀短観 楽観できぬ原油高の影響【社説】

3月日銀短観 楽観できぬ原油高の影響【社説】

 3月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)で、大企業製造業の景況感は小幅ながら改善した。人工知能(AI)関連需要や米通商政策を巡る不透明感の後退が下支え要因になった。

 ただ、中東情勢の緊迫化に伴う原油高への懸念から先行きの企業マインドは悪化しており、楽観できない。原油高の影響を最小限にとどめるように政府は万全を尽くしてほしい。

 先行きは軒並み悪化へ

 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業でプラス17。今回の短観から調査対象企業を見直した新基準を適用し、前回の昨年12月調査のプラス16から1ポイント改善した。

 データセンターや半導体などAI関連需要が堅調で円安も追い風となったことから、16業種中9種で景況感が改善。米国の高関税政策の影響は和らいでいるようだ。

 大企業非製造業はプラス36と横ばい。価格転嫁の進展がプラス要因となったが、仕入れコストの上昇や人手不足が響いた。中小企業は製造業のDIがプラス7と横ばいだが、非製造業はプラス16(前回プラス17)と2期ぶりに悪化した。

 懸念されるのは、やはり、中東情勢緊迫化の影響だ。3月の短観は、米イスラエルによるイラン攻撃開始以降、初めての調査だが、回収基準日が3月12日のため、中東情勢の影響は完全には織り込まれていない。にもかかわらず、企業の先行き見通しは、規模や業種を問わず悪化した。

 3カ月先の景況感は大企業製造業がプラス14と3ポイント、大企業非製造業もプラス29で7ポイント悪化。中小企業では製造業プラス4で3ポイント、非製造業プラス8で8ポイント悪化しており、今後、影響の広がりが懸念される状況となっている。

 悪化の具体的な要因は、原油価格上昇による仕入れコストの上昇だ。仕入価格判断指数(「上昇」と答えた企業の割合から「下落」の割合を引いて算出)は、大企業製造業でプラス46と前回調査のプラス40から6ポイント、3カ月後の先行きでもプラス52と6ポイント上昇。大企業非製造業でも前回のプラス42から今回プラス46、先行きはプラス53と7ポイントもの上昇となっている。

 原油などエネルギー価格の上昇が続けば企業収益の悪化は避けられず、賃上げ機運にも水を差されかねない。石油関連の原材料不足から化学製品を中心に減産が深刻化する恐れもある。

 政府はそうした事態を避けるためにも、原材料の調達に支障が出ないよう万全の対策を講じてほしい。

 インフレ抑制へ利上げも

 日銀は今月27、28日の金融政策決定会合で、今回の短観結果を踏まえ利上げの是非を判断する。中東情勢の推移によっては、景況感改善への足かせとなる円安による輸入インフレが高進する恐れもある。

 日銀が想定する中立金利水準(景気や物価に影響しない金利、1・1~2・5%)内の小幅な利上げにより為替相場が円高の方向に向かえば、輸入コストの上昇を抑制できる効果も期待できる。過度な円安進行に対しては、介入などの断固たる措置が必要なのはもちろんである。

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