
来日したフランスのマクロン大統領が、高市早苗首相と会談した。マクロン氏の来日は約3年ぶり。
高市首相は昨年11月に南アフリカで開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でマクロン氏と短時間懇談したが、本格的な会談は今回が初めてだ。
G7首脳が相次ぎ来日
マクロン氏は過去3回日本を訪れているが、いずれも国際会議出席のためだった。今回の訪日は、日仏2国間の関係強化が目的。また今年フランスは先進7カ国(G7)の議長国であり、6月に予定されているエビアン・サミットの前に、対米対中関係のあり方やわが国が友好関係を保っているイランとの関係について互いの認識を共有し意思疎通を図る狙いもあった。
会談では、経済的威圧を強める中国を念頭に、レアアース(希土類)など重要鉱物のサプライチェーン(供給網)強化に向けた戦略的連携を進めることで一致。中東情勢に関しては、原油の安定供給に向けて緊密に意思疎通を図ることを確認したほか、ホルムズ海峡の安全な航行を確保するための取り組みに貢献する用意があると共同声明に盛り込まれた。次世代型原発と位置付ける高速炉の開発や、人工知能(AI)分野での協力でも合意した。
さらに外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)も開催され、安全保障面でさらなる連携の強化が不可欠との認識を共有。中国を巡る諸課題や北朝鮮の核・ミサイル開発への対応で緊密な連携を申し合わせた。
第2次トランプ政権は米国第一主義を前面に押し出し、同盟諸国との軋轢(あつれき)が強まっている。しかもウクライナ戦争の長期化に加え、2年続いてイランで戦争が持ち上がるなど国際情勢は緊迫化している。
そのため各国は米国一辺倒の外交を見直し、多国間の協力と連帯を強め、横のつながりを太くすることで不安定な国際情勢に対処しようとしている。高市政権発足から半年も経(た)たぬ間に米英伊加、そしてフランスと、ドイツを除くG7の首脳が相次ぎ来日し日本との関係強化に動いているのは、多国間主義重視の表れにほかならない。
中でもフランスはドゴール大統領以来、米国と一定の距離を置く一方、中国との関係を重視するなど戦略的な自立志向の強い国だ。また欧州連合(EU)の取りまとめや牽引(けんいん)役は以前はドイツが担っていたが、今やその役割はフランスに移っている。
マクロン氏はフランスが主導して欧州の一体性や存在感を高め、大国である米中露の狭間に欧州が埋没する事態を避けようと努めている。ホルムズ海峡の運航再開や船舶護衛で各国に連携を呼び掛け、またフランスの核の傘を欧州全域に提供すると提案したのもそうした取り組みの一環である。
多国間協力の枠組み築け
わが国も日米同盟を強化しつつ、中露の先に位置する欧州との関係を深め、多国間協力の枠組み構築を急ぐ必要がある。その意味で、欧州の牽引役を自任するフランスと密接な関係を図ることは、日欧関係全体の強化に寄与し、また中国を牽制する上でも重要である。






