トップオピニオン社説「同性婚」大法廷 国家の未来熟慮し判断を【社説】

「同性婚」大法廷 国家の未来熟慮し判断を【社説】

 男女の結び付きは、一人では生きられない人間の宿命を端的に示している。そこから家族が生まれ、社会の形成へとつながっていく。

 この営みの中で、男女一組の関係性を保護・安定させる婚姻制度は、社会発展の核として位置付けられる。最高裁はこの観点から婚姻制度の在り方を審議すべきだろう。

 生殖で国民社会を維持

 同性同士の結婚を認めない現行制度は憲法に違反するとして、同性カップルらが国に損害賠償を求めた「同性婚」訴訟は、最高裁大法廷で審理されることになった。早ければ令和8年度内にも初の憲法判断が示される見通しだ。

 訴訟は全国5地裁で6件起こされた。高裁段階では「違憲」が5件、「合憲」は東京高裁の1件のみだった。違憲判断は、法の下の平等を定めた憲法14条1項、個人の尊厳に立脚した婚姻制度を求める24条2項に違反するとした。婚姻の自由を定めた24条1項、幸福権を規定した13条に違反するとした高裁もあった。二審最後(昨年11月)となった東京高裁は13条については判断を示さず、あとの3項について全て合憲とした。

 判断が分かれたのは、婚姻制度の目的についての考え方に根本的な違いがあったからだ。同性婚の是非は、婚姻の目的によって分かれることは専門家たちがかねて指摘してきたことだ。

 違憲判断の背景には、婚姻制度に関してカップルの幸福に重点を置く価値観がある。同性への性的指向はかつて「精神疾患」と見られたが、今は自分で選べない個人の「属性」と考えられるようになっている。この医学的な認識の変化に加え、世論調査で7割が同性婚に「賛成」と答えるようになった社会の変化も違憲判断を後押しした。

 一方、合憲とした東京高裁は当事者の幸福だけでなく、生まれてくる可能性がある子供の福祉、さらには社会の安定・維持まで考慮して結論を下している。前者に基づけば、婚姻を男女に限定すべきではない。しかし後者のように、子供のことも含めて考えるなら、出産の可能性がある男女カップルと、自然にはその可能性がない同性カップルを区別することに「合理性」を認めることは、至極当然の結論である。

 特に、画期的だったのは「われらとわれらの子孫のために(中略)この憲法を確定する」と記す憲法前文も取り上げたことだ。そして、国家は、国民社会が世代を超えて維持されることを前提とするものだから、「男女の性的結合関係」による子の生殖が、今なお世代を超えて国民社会を維持するため、社会的承認を受けた通常の方法であることに変わりはないとした。その上で、これ以外の方法で、社会が世代を超えて安定的に維持されることを期することは困難だ、と結論付けた。

 子供の幸福切り離すな

 われわれは東京高裁の判断を支持する。子供の幸福や国の未来を切り離した婚姻制度は社会混乱を招き、少子化を深刻化させる危険性が高い。最高裁の裁判官15人全員で審理する大法廷には、国家百年の計に立った熟慮を望む。

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