トップオピニオン社説ストーカー最多 警察は被害者の安全確保を【社説】

ストーカー最多 警察は被害者の安全確保を【社説】

 2025年のストーカー規制法による摘発件数は前年比205件増の1546件で、00年の規制法施行以降の最多を更新した。住居侵入などストーカーに関連する摘発も2171件(428件増)で同じく最多となった。警察には被害者の安全・安心を確保できるような対応を求めたい。

 川崎の事件受け積極対応

 警察に対するストーカー相談の件数は3314件増の2万2881件。ストーカー規制法に基づき、付きまといなどの行為をやめさせる禁止命令は過去最多の3037件(622件増)で、このうちの6割が緊迫性が高い場合に加害者への聴聞を経ずに出す緊急禁止命令だった。命令を守らなかったとして摘発した件数は244件。警告は98件増の1577件で、状況に応じて命令と警告を使い分けているという。

 昨年は川崎市で、ストーカー被害を受けていた女性が殺害される事件が発覚した。女性は神奈川県警に被害を相談していたが、適切な捜査がなされないまま亡くなった。警察の大失態だと言わざるを得ない。神奈川県警はストーカー事案として適切な初動対応ができなかったと認め、「対処体制が形骸化し、組織的問題があった」とする検証報告書を公表した。

 これを受け、警察庁は関係部門の連携強化や対応マニュアルの見直しなどを全国に通達。全都道府県警でストーカー事案の司令塔となる幹部ポストが設けられ、署と警察本部、生活安全部門と刑事部門の連携が制度化された。通達後、全国で摘発や警告などの件数が軒並み増加した。事件報道で増えた相談に、通達通り積極的に対応したことが要因だとみていい。

 一方、昨年12月のストーカー規制法改正によって位置特定などの悪用が禁じられた「紛失防止タグ」に関する相談は309件増の679件。初めて全地球測位システム(GPS)機器に関する被害相談(511件)を上回った。

 紛失防止タグを巡っては、水戸市のアパートで昨年末に殺害された女性の車に取り付けた容疑で、殺人罪で起訴された元交際相手が再逮捕されるなど、全国で摘発が相次いでいる。水戸市の事件では、女性が収集していたキャラクターの縫いぐるみに紛失防止タグを埋め込み、女性の実家に置き配を装って届け、女性が持ち帰ったことでアパートを特定したという。

 ストーカー規制法は1999年の「桶川ストーカー殺人事件」を受け、翌年に制定された。規制対象にならない行為などが問題になるたびに改正され、これまで2013、16、21、25年と4回見直された。ただ川崎市の事件のように警察の対応が不適切であれば、法改正を行ってもストーカーによる危害を防ぐことはできない。現場での積極的な法の運用が欠かせない。

 加害者に強制的な治療も

 警察は重大事件への発展や被害再開を防ぐため、禁止命令を受けた加害者に治療やカウンセリングを促すなど継続的な関与を強化している。だが、24年の受診率は5・6%にとどまる。治療を強制的に行えるようにすることも検討すべきだ。

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