
国・地域別対抗で野球の世界一を争う、第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は、ベネズエラが野球大国・米国を破って初優勝を果たした。決勝戦は、両国間を巡る政治状況から注目を集めたが、友好的ムードで大会を終えたことを歓迎したい。
パワー重視は通用せず
今大会は、メジャーリーグで活躍するスター選手をそろえた国々が本気の陣容で臨んだ。
連覇を目指した日本代表「侍ジャパン」は、前回優勝に貢献した大谷翔平選手、山本由伸投手のほか、今季からメジャーリーグに挑戦する村上宗隆、岡本和真両選手、ベテランの菊池雄星、菅野智之両投手も加わり、メジャーリーガーは過去最多の8人。豪華な布陣で臨んだが、準々決勝で惜しくもベネズエラに敗れた。2006年に第1回大会が開かれて以降、日本が4強に進めなかったのは初めて。
井端弘和監督は「各国が力をつけてきている」とコメントしたが、その通りだろう。歴代最低のベスト8にとどまったのは残念だが、十分に日本の存在感を世界に示すことができたのではないか。退任を表明した井端監督はじめ選手たちには、感謝とねぎらいの言葉を送りたい。
メジャーリーグで実施されている投球間の時間制限「ピッチクロック」など、今大会から導入された新ルールに慣れているという点から、井端監督はメジャー組を中心に据えたが、ほとんどがメジャーリーガーの米国やベネズエラ、ドミニカ共和国にパワーやスピード面で劣っていたのは否めない。
米紙ニューヨーク・ポストは日本の敗因をこう分析している。「侍ジャパンは、自分たちの野球の現状に対して明確な判定を突き付けられた。何を目指すチームなのかを見極めなければならない」
日本は、ほとんどの試合で1番から7番までメジャー組を中心にパワーヒッターを並べ、足や小技が使えるレギュラー選手は遊撃手・源田壮亮(そうすけ)選手のみ。淡白な攻撃は1次リーグの東京ラウンドから目に付いた。日本らしい機動力や小技を使ったスモールベースボールはほとんど見られなかった。
特に、国内組の野手は出場機会に恵まれなかった。国内外のチームを相手に練習試合を重ね、順調な調整をしていただけに、大会本番で出番が少なかったのは残念だ。
楽観的な報道姿勢に疑問
大会前は、テレビのワイドショーで元プロ野球選手が「優勝確率100%」などと語り、日本の連覇は間違いないと伝えていた。試合に勝った翌日の報じ方は楽観的であり、しつこさすら感じた。ところが日本が敗れた翌16日のワイドショーは、まるで腫れ物に触るかのようにほとんど扱わなかったのだ。サッカーが盛んな欧州諸国では、たとえ自国代表が敗退したとしても詳しく報じ、敗因をしっかり分析している。叱咤(しった)激励されて強くなっている印象がある。
19日に第98回選抜高校野球大会(センバツ)が開幕したのに続いて、プロ野球の26年シーズンの公式戦が27日に始まる。将来、世界での活躍が見込まれる“原石”探しが楽しみだ。






