
日米欧など主要な石油消費国32カ国が加盟する国際エネルギー機関(IEA)が、過去最大となる計4億バレルの備蓄協調放出で一致した。原油輸送の要衝ホルムズ海峡は封鎖状態が続き、原油価格が高騰している。エネルギー需給の安定に向け、国際社会が協力する必要がある。
イランが輸送を阻害
米国とイスラエルによる攻撃を受けたイランは、ホルムズ海峡を封鎖。原油価格を高騰させて米国などへの停戦圧力を強める狙いがある。ホルムズ海峡では民間船舶が攻撃を受け、海峡近くのペルシャ湾内で停泊していた商船三井所有の日本船籍のコンテナ船も損傷した。イランがホルムズ海峡に機雷を敷設したとも報じられている。エネルギー輸送の阻害を「武器」にすることは断じて容認できない。
ビロルIEA事務局長は「原油市場は前例のない課題に直面している」と強調した。協調放出は、ロシアのウクライナ侵攻後の2022年春以来、約4年ぶり。過去最大だった当時の2倍超の規模だ。国際社会の強い危機感を示すものだと言える。
日本の原油のうち9割以上は中東からの輸入で、ほとんどがホルムズ海峡を通って運ばれてくる。高市早苗首相はIEAの決定前に石油備蓄を日本単独で放出する方針を表明した。放出する石油備蓄は45日分に相当する8000万バレル程度。16日に民間の備蓄義務量を引き下げて放出を始め、3月末にも国家備蓄の放出を始める。
また、政府はガソリン補助金の復活も決定。翌週のレギュラーガソリン1㍑当たりの店頭価格が170円を超えると見込まれる場合、その超過分を全額支給する。石油元売り各社が19日に出荷する分から支給し、軽油や灯油も補助の対象となる。
首相は「今月下旬以降、わが国への原油輸入は大幅に減少する見通しだ」と指摘。原油の高騰や供給不足は幅広い製品の価格上昇につながるため、不安解消に先手を打った形だ。だが何よりも、ホルムズ海峡の封鎖が早期に解除されなければならない。国際社会はイランへの圧力を強めるべきだ。
今回の事態を通じて日本に改めて突き付けられた課題は、エネルギー安全保障の強化だ。将来を見据え、米国や中南米など原油調達先の多角化を進めることが求められる。
現行のエネルギー基本計画では、電源構成の火力発電比率を現在の約7割から40年度に3~4割程度に縮小する目標を掲げている。ただ石炭火力に関しては、政情の安定しているオーストラリアから石炭の多くを輸入しており、電力の安定供給に資する電源だ。天候によって発電量が左右される再生可能エネルギーを補う上でも欠かせない。
原発の再稼働推進を
先進7カ国(G7)は24年、脱炭素化に向けて石炭火力の35年までの原則廃止で合意した。もっとも日本は石炭火力活用のため、二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する「CCS」や、燃料の一部を水素・アンモニアに置き換える「混焼」の実用化を進めている。エネルギー安保強化には、少ない燃料で大きなエネルギーを生み出せる原発の再稼働も推進すべきだ。






