トップオピニオン社説NATO核共有 フィンランドの容認は当然【社説】

NATO核共有 フィンランドの容認は当然【社説】

 フィンランドは冷戦時代から続けてきた核兵器の国内持ち込み・通過・保有の全面禁止政策を夏までに解除する。ロシアが核兵器で威嚇しながらウクライナに軍事侵攻したのに伴い、中立政策を見直して北大西洋条約機構(NATO)に加盟しており、NATOの核共有に応じて抑止力を強化する方針だ。非核三原則を維持するわが国も参考にすべきである。

 欧州はフランス中心に

 フィンランドはロシアと接する国境が1300㌔に及び、歴史的にロシアが最大の軍事的脅威となっている。ソ連時代には第2次世界大戦が勃発して間もなくソ連軍がフィンランドを侵略し冬戦争が始まった。必死の抵抗でフィンランドは国家存亡の危機を免れたが、領土を一部失うことになった。

 このような直接の軍事的脅威から第2次大戦後はソ連を刺激することを避け、東西冷戦期にNATOに加盟せず中立国の道を選んだ。当時の東欧諸国のように社会主義国にならなかったものの、民主主義国ながらもソ連を気遣う慎重な外交姿勢を取り、「フィンランド化」と揶揄(やゆ)された。

 こうした情勢の中で核兵器持ち込みなどを全面禁止する政策は「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」という日本の非核三原則にも似た措置だ。核の傘に頼らない平和外交として緊張緩和政策をもてはやした反戦反核世論に支持された。また、ソ連崩壊とロシアの民主化が起きたポスト冷戦期には軍縮ムードが広がり、この政策を変更する可能性は予想できなかったことだ。

 それだけロシアの「力による現状変更」は衝撃的な国際秩序の破壊であり、ウクライナが戦場となった事実は、同盟国がなく核の傘に守られないことが運命の分かれ道になることを示している。このためフィンランドは2023年にNATOに加盟。ハッカネン国防相は加盟国の要件と一致させると説明したが、NATOの核共有に呼応するのも強い危機感の表れだ。

 ロシアの核恫喝(どうかつ)に対してNATOでは核共有による核抑止力が重要になっており、核兵器保有国であるフランスは米国主導の核共有戦略からフランスを中心に欧州の加盟国が核共有を主導する提案をしている。モンロー主義者を自任し、南北米大陸の位置する西半球に重点を置く国家安全保障戦略を取るトランプ米大統領のNATO離れに対策を講じる必要がある。

 ロシアによる国際法違反の軍事力を用いた現状変更は欧州の出来事だが、極東では中国が南シナ海のフィリピン近海や東シナ海のわが国固有の領土である尖閣諸島の領有を一方的に主張して海洋進出している。さらに台湾に対する武力統一を主張し、現に台湾攻撃を模して威嚇的な軍事演習を行っている。

 わが国も核抑止力強化を

 わが国に対しても中露の軍用機や軍艦が共同演習で威嚇しており、北朝鮮は核保有国であることをアピールして弾道ミサイルを日本海に発射している。わが国も非核三原則を墨守するばかりでなく、核政策の見直しと米国との同盟関係強化により、抑止力を強めるべきだ。

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