トップオピニオン社説大震災15年 復興の道のりを検証する時【社説】

大震災15年 復興の道のりを検証する時【社説】

東日本大震災の追悼施設「釜石祈りのパーク」で手を合わせる人たち=10日午後、岩手県釜石市
東日本大震災の追悼施設「釜石祈りのパーク」で手を合わせる人たち=10日午後、岩手県釜石市

 死者・行方不明者・災害関連死を合わせ2万2000人超の被害を出した東日本大震災から15年を迎えた。未曽有の大災害の記憶を呼び起こし、犠牲者や遺族、被災者に思いを致しながら、15年の復興の歩みを振り返りたい。

 人口減少や高齢化に直面

 被災後も行方不明者の捜索は続けられている。発見された岩手県山田町の山根捺星ちゃん(当時6歳)の遺骨は、DNA鑑定などによって確認後、昨年、14年ぶりに遺族の元に届けられた。警察当局の執念が実ったと言える。子供、親兄弟が行方不明になった被災者の心情を思い、今後も続けてほしい。

 マグニチュード9・0の巨大地震と巨大津波が甚大な被害をもたらした地震は、日本人の防災意識を一気に高めた。その後も2016年の熊本地震、24年の能登半島地震など大きな地震が相次いだ。

 しかし、日本赤十字社のアンケートでは、8割超の人が東日本大震災と同規模の災害の発生リスクを認識する一方、約7割が「備えや対策ができていない」と答えている。震災の経験を後世に語り継ぐ取り組みはさまざまになされており、今後もさらに広がることを期待したい。

 一方、東日本大震災と同じくプレート境界型地震で大規模なものとなる可能性のある南海トラフ地震について、政府の地震調査委員会は今後30年以内に発生する確率を「60~90%程度以上」としている。巨大津波発生の可能性もあり、東日本大震災の教訓を改めて確認して対策強化を急ぐ必要がある。

 「東北の復興なくして日本の再生なし」として政府は被災地の復興に取り組んできた。住宅再建や復興のまちづくりに14年間で13兆6000億円を投じるなど、復興にはこれまで40兆円超が投じられた。

 だが復興庁はこれまでの復興事業により、住まいの再建・復興まちづくりはおおむね完了し、産業や生業の再生も進展しているが、人口減少や高齢化という課題に直面しているとしている。岩手県では20年までの10年間に県人口は9%減少。沿岸12市町村では17%にも及ぶ。

 当初は元に戻すのではなく、日本の未来を先取りする創造的復興にすべきだという意見が多かった。被災地では当面するさまざまな課題に追われていたという事情があるが、創造的復興がどの程度なされたか改めて検証する必要がある。人口減や高齢化という課題に取り組むには不可欠だろう。

 巨大な防潮堤も相次いで造られた。建設に当たっては地元でも議論があったが、巨大津波を体験した被災者の心理が建設に向かわせた。一方、巨大なインフラの維持が自治体の財政負担となっている。何より生活空間から海が消えたことの影響はじわりと出てきている。この経験は、能登半島地震の復興計画でも参考にすべきものだ。

 一日も早い住民の帰還を

 東京電力福島第1原発事故からの復興は途上にある。避難者2万6000人の大半が原発事故の被災者だ。今も7市町村の一部地域で避難指示が続いている。除染土の受け入れなどは全国の自治体で協力し、一日も早い住民の帰還を後押ししたい。

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