トップオピニオン社説武器禁輸撤廃提言 積極平和貢献へ大きな一手【社説】

武器禁輸撤廃提言 積極平和貢献へ大きな一手【社説】

防衛装備移転三原則の運用指針改定に向けた与党提言を高市早苗首相に提出し、記者団の取材に応じる自民党の浜田靖一安全保障調査会長(手前左)、日本維新の会の前原誠司安保調査会長(同右)=6日午前、首相官邸
防衛装備移転三原則の運用指針改定に向けた与党提言を高市早苗首相に提出し、記者団の取材に応じる自民党の浜田靖一安全保障調査会長(手前左)、日本維新の会の前原誠司安保調査会長(同右)=6日午前、首相官邸

 自民党と日本維新の会が防衛装備移転三原則の運用指針見直しに関する与党提言を高市早苗首相に提出した。輸出できる国産装備品を5類型に限定する規制を撤廃し、武器輸出を原則容認することが柱だ。

 わが国の受動的な安全保障政策から脱皮し、積極的に国際平和に貢献する上で大きな一手である。歓迎したい。

 防衛産業の撤退に歯止め

 提言は同盟・同志国と連携を深め、国内の防衛生産・技術基盤を強化するのが狙いだ。これまで輸出を原則禁止してきた装備品政策の「大転換」(与党提言)と言える。現行指針は輸出できる国産装備品を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型に限定しているが、提言はこれを撤廃し、全ての完成品や部品の移転を原則可能とした。

 従来、武器輸出三原則は共産圏諸国、国連決議による禁輸国、紛争地域への輸出を禁止していたが、三木武夫内閣時の政府統一見解(1976年)で対象地域以外も「慎む」となり、事実上武器および武器製造関連技術の全面禁輸措置が取られたのだ。ようやく安倍晋三内閣の2014年に防衛装備移転三原則を策定して5類型に限定して輸出が可能となった経緯がある。

 とはいえこの間、防衛事業からの企業の撤退が深刻化した。こうした事態を打開すべく23年には防衛生産基盤強化法が成立、装備移転(輸出)する企業への費用助成など支援策を打ち出した。ロシアのウクライナ侵攻以来、わが国を取り巻く安保環境の厳しい変化も大きい。北大西洋条約機構(NATO)諸国も国防費の国内総生産(GDP)比5%への引き上げを新たな目標とした。

 わが国防衛の対米依存度を下げることも課題となってきた。日米同盟が基軸であるにせよ、自立度を高め、同盟・同志国との重層的な安保関係を強固にしていくことが日米安保の基盤強化にもつながる。装備移転そして武器輸出の振興は、いざという時のサプライチェーン(供給網)の確保、移転国との武器装備の互換性からも不可欠だ。

 一部に「軍事国家への道」「死の商人」といった批判があるが、全く的外れだ。原油をはじめ多くの資源を海外に依存するわが国には、受け身の安保ではなく、力の空白から生じる紛争の要因を抑止していく上で武器輸出の面で積極的に平和貢献を果たすことが求められている。

 政府は意義を啓発せよ

 わが国防衛産業の振興は「自分の国は自分で守る」といった原点からも必要だ。一度撤退した製造ラインはノウハウ、人材とも復活が容易ではない。課題はその遅れをどのように取り戻すかだ。この分野での競争は今後一層激しくなる。海外メーカーは実戦による性能証明を行う部署があり、その評価で売り込む。例えばドローンなど先端装備は実情に合わせ不断に改良していくスピード感が必須であり、わが国もその点での対応が欠かせない。もちろん、テロ組織や第三国への流出を防ぐ歯止め策も重要だ。

 政府は迅速に同提言を実行に移し、国会や国民に武器装備移転の国益と課題について啓発していくべきである。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »