中国の立法機関(国会に相当)である全国人民代表大会(全人代)が開かれ、李強首相は政府活動報告で今年の国防予算が前年比7・0%増になると表明した。前年の7・2%増に比べれば若干鈍化したが、伸び率7%台は5年連続。しかも2026年のGDP(国内総生産)成長率の目標とされた4・5~5・0%を上回り、経済不振が続く中でも軍備拡張路線を維持する姿勢が鮮明になった。
武力行使辞さない構え
李首相は27年の軍創設100年に向け「先進的戦闘力」の整備を加速させるとし、米軍に対抗できる人工知能(AI)やサイバーなどハイテク兵器の開発を進める方針も示した。
中国は改革開放政策によって目覚ましい経済発展を遂げた。それに伴って軍備の増強・近代化に着手し、軍事費は1995年から32年連続で前年を上回っている。この間、習近平政権発足当時250発だった核弾頭数は600発と倍以上に増加。2030年には1000発を超えると予想されている。その一方、中国は核軍縮交渉への参加を頑(かたく)なに拒んでいる。
在来戦力では空軍力やミサイルを増強。また3隻目の空母を就役させ、さらに原子力空母建造も視野に入れるなど米海軍に対抗し得る海上戦力を整備し、第2列島線以西を自国の領海にしようと狙っている。
李首相は「台湾独立の分裂勢力に断固として打撃を与え、祖国統一の大業を推進しなければならない」と述べ、台湾統一に向け武力行使を辞さない構えを示したが、台湾侵攻を念頭に強襲揚陸艦の建造も急いでいる。今後も軍事費の増大が続けば、中国の軍事的脅威がさらに高まることは明らかだ。
全人代に提出された今年の国防予算は1兆9095億元(約43兆4000億円)で、これは日本の26年度防衛予算案(9兆353億円)の約4・8倍。しかも公表している国防費に研究開発費などは含んでおらず、実際は公表された額より遙(はる)かに多い。木原稔官房長官も「中国は十分な透明性を欠いたまま、軍事力を広範かつ急速に増強させている」と批判した。
さらに中国では、独裁化を強める習国家主席が人民解放軍の制服組トップクラスを相次ぎ解任する異常な事態が起きている。適切な指揮統制が保たれているのか軍事システムの在り方にも疑念が生まれている。
中国は高市早苗首相の台湾有事発言に強く反発し、「日本に軍国主義が台頭している」(王毅外相)などと根拠なき対日批判を連日繰り返している。だが軍備増強を止(や)めず、強大な軍事力を以(もっ)て台湾の武力制圧や周辺諸国への膨張進出など力による威圧や一方的な現状変更を目論(もくろ)む中国こそ軍国主義的であり、覇権主義国家との批判を免れることもできまい。
野放図な軍拡中止せよ
そもそも中国は国連の安全保障理事会常任理事国として、国際の平和と安全の維持に大きな責任を負っている。その自覚と使命感があるのであれば、国際秩序や軍事バランスを不安定化させ、周辺各国に不安と脅威を与える野放図な軍拡や膨大な軍事費支出を中止すべきである。






