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子供のSNS被害 日本でも利用禁止検討を【社説】

 昨年1年間にSNSで知り合った相手から性犯罪などの被害を受けた小学生は、前年から約2割増の167人で、統計が残る過去10年で最多だったことが警察庁のまとめで分かった。

 オーストラリアでは昨年12月、16歳未満のSNS利用を禁じる世界初の法律が施行され、欧州でも同様の動きが広がっている。被害の低年齢化を防ぐため、日本でも利用禁止などの対策を検討すべきだ。

小学生が10年前の4倍に

 警察庁によると、18歳未満の子供全体の被害件数は前年比5・4%増の1566人。中学生は758人(前年比43人増)、高校生は579人(同3人減)だった。小学生は前年から31人増え、2016年との比較では、高校生が約4割減少した一方、小学生は約4倍に増えた。

 小学生の場合、中高生と比べると、インスタグラムやTikTok、LINEなどのほか、仮想空間での交流アプリなどで相手と接触しているケースが目立った。スマートフォン利用の低年齢化が背景にある。

 SNSに関しては、犯罪に巻き込まれる恐れのほか、依存性の高さなどの問題もある。医療機関の調査では、日本の10~20代の6%に「病的使用」の疑いがあった。これは「SNSが使えない時に気分が悪くなったか」「嫌な感情から逃れるためにSNSを使っていたか」などの質問に当てはまると答えた割合だ。日本の人口に換算すると約140万人に上り、深刻な事態だと言えよう。

 米西部カリフォルニア州の裁判所で先月始まった裁判では、原告女性が幼い頃からインスタなどを利用したことで依存症に陥り、深刻な精神的被害を受けたと主張。インスタを傘下に置く米メタ(旧フェイスブック)とユーチューブを傘下に置く米アルファベットに、意図的に依存性の高いアプリを設計したとして損害賠償を求めている。

 豪州では昨年12月、依存対策などのために16歳未満のSNS利用を禁じる法律を施行した。欧州各国でも類似の措置の導入を図っている。豪州ではクリスマス期間の児童書の売り上げが24年より18%増えるなど、子供たちの生活にも変化が見られるようだ。

 日本の青少年インターネット環境整備法は、犯罪や自殺に引き込む情報やわいせつな描写、残虐な内容の情報を「青少年有害情報」と規定し、主にフィルタリング技術で18歳未満の子供に閲覧させないようにしている。ただSNSなどの普及で、閲覧制限だけでは対応できないリスクが増している。

 警察庁の統計によれば、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)との関連で、昨年は20歳未満の少年1322人が検挙された。トクリュウに加わった経緯を見ると「闇バイト」応募などのSNS経由は26・7%だった。これは成人の40・6%より低いとはいえ、到底看過できるものではない。

トラブル防ぐ対策急げ

 こども家庭庁は今年1月、子供がトラブルに巻き込まれることを防ぐため、SNS規制などの必要性を検討する作業部会を設置した。利用禁止など子供を守る対策の策定を急ぐべきだ。

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