トップオピニオン社説家庭連合解散命令 信教の自由・法治の危機だ【社説】

家庭連合解散命令 信教の自由・法治の危機だ【社説】

 日本の信教の自由、法治主義が危機にさらされている。東京高裁は世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)の解散を命じた東京地裁の決定を支持し、家庭連合の即時抗告を棄却した。

 教団は最高裁に特別抗告する方針だが、命令の効力が生じ清算手続きが始まった。

揺らいだ証拠裁判主義

 文部科学省の解散命令請求を受け、東京地裁は昨年3月、高額献金などで膨大な被害が出たとして、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を決定した。これに対し教団は、近年被害が出ていないにもかかわらず「隠れた被害が相当程度あることが想定される」という推定に基づくものであること、文科省の証拠に捏造(ねつぞう)があることなどを不服として即時抗告していた。

 地裁判決では「約40年もの長期にわたり、類例のない膨大な被害を生じさせた」としたが、いわゆる被害者には強制棄教(ディプログラミング)で反家庭連合になった元信者も多数含まれている。文科省の証拠捏造への批判もなく、著しく公平性を欠くものだった。

 高裁決定で三木素子裁判長は「コンプライアンス宣言後に信者らにおいて不法行為に該当する献金等の勧誘が行われたと確実に認められる事案は少ないが、その可能性が相応に認められる事案や、その可能性が否定できない事案が発生している」とし、「そうすると、信者らは、コンプライアンス宣言後も、旧統一教会によって定められた献金収入の数値目標を達成するため、不法行為に該当する献金の勧誘を継続して行ったものと認めるのが相当である」と「可能性」を根拠にしている。証拠裁判主義は高裁判決でも揺らぎ、日本の法治主義は一層危うくなったと言わざるを得ない。

 また「信者らの信教の自由などへの影響を考慮しても、解散命令は必要でやむを得ない」としているが、信教の自由という最も尊重されるべき人権があまりにも軽く扱われている。

 そもそも問題となる献金は宗教行為であり信者にとっては重要な信仰告白の一つである。世界文化遺産に登録されている多くの教会や寺院なども信者の献金を基に築かれた。

 信教の自由は、異なる宗教、異質なものに対する寛容が本質にある。もちろん、公共の福祉を害さないことが条件だ。しかし、公共の福祉という概念は広義に解釈され悪用される恐れがある。それを防ぐために、解散命令の要件を刑法犯罪に限定してきたが、岸田文雄元首相が朝令暮改の国会答弁で民法上の不法行為を含めてしまった。

 今回の解散命令で、日本の信教の自由は大きく制限されることになりかねない。これには国際的な批判も集まっている。日本に人権後進国のレッテルを貼らせてはならない。

テロリストに加担するな

 家庭連合の解散問題は、教団に恨みを持つ山上徹也被告が、大きな社会問題とすることを狙って安倍晋三元首相を暗殺したことに端を発する。

 マスメディア、政治家だけでなく法の番人たる司法までがテロリストの目的成就に加担すべきではない。

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