トップオピニオン社説家庭連合抗告審 地裁決定の不合理を正せ【社説】

家庭連合抗告審 地裁決定の不合理を正せ【社説】

 世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令請求について、東京高裁が4日に決定を下す。民主主義国家の基本原則である法治主義を守る「法の番人」としての信念と良識が問われる歴史的な意味を持つもので、マスコミや世論におもねることなく法に従った厳正な判断が求められる。

被害「想定」で解散命令

 「信教の自由」は自由な社会の基盤だ。この人間の核心的権利に対する司法の判断は、日本の人権意識に対する国際的な信頼度にも影響する。一教団の運命にとどまらず、わが国の将来にも関わるから重大である。

 家庭連合信者の高額献金を巡って、東京地裁は昨年3月、民法上の不法行為を根拠とした初の解散命令を決定した。これに対し、教団側は民事事件を解散事由にすることは信教の自由を侵害するだけでなく、2009年にコンプライアンス宣言を行い、民法上の大きな問題も生じていないとして即時抗告した。

 地裁決定は民事判決、和解、裁判外の示談合わせて179人をコンプラ宣言以降に顕在化した被害者とした。だが、このうち、宣言以降の事案の判決は1件のみ。近年、トラブルがほとんど起きていないのに解散とは不合理ではないか。

 だが、地裁は宣言後も「顕在化していない被害」が「相当程度存在すると想定される」とした上で「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」と結論付けた。被害を推定するのは、証拠で事実認定する証拠裁判主義を逸脱していよう。

 被害申告者には、教団の反対勢力による強制棄教(ディプログラミング)の被害を受けた元信者が多くいる。また、文部科学省が提出した陳述書には、捏造(ねつぞう)があるとの疑惑も浮上している。東京地裁はこれらを無視している。解散という結論ありきの決定だったと言うほかない。教団の即時抗告は当然だった。

政治的動機で動きだした解散命令請求だということも念頭に置く必要がある。安倍晋三元首相銃撃事件後の22年10月、教団の友好団体と自民党との関係をマスコミから糾弾された岸田文雄首相(当時)は、苦境から逃れるため、それまで解散要件になっていなかった民事事件も含むと法解釈を変更したのだ。

 日本が批准する国連自由権規約の条約機関、同規約委員会は「公共の福祉」の定義の曖昧さについてかねて懸念を示していた。岸田氏による解釈変更はその懸念が杞憂(きゆう)でなかったことを実証してしまったのである。

先の衆院選の際、中国がX(旧ツイッター)を使い「旧統一教会」と高市早苗首相を結び付けて世論操作しようと工作したことが明らかになった。地裁決定で教団のイメージが悪化したのを利用したのだ。日本における解散命令が中国によるウイグル族や法輪功などへの宗教弾圧の正当化に利用されてもいる。

日本の威信にも関わる

 本来、国家には多数派から排除されやすい宗教的少数派を保護する義務がある、というのが人権についての国際基準である。高裁決定は、国際社会における日本の威信に関わっていることも忘れるべきでない。

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