トップオピニオン社説出生数最低 国主導で結婚を支援せよ【社説】

出生数最低 国主導で結婚を支援せよ【社説】

 厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、2025年に生まれた子供の数は70万5809人となり、統計を取り始めて以降最少を更新した。過去最少更新は10年連続で、少子化に歯止めがかからない。国が主導し大胆かつ繊細な結婚の奨励・支援を行うべきだ。

 施策が効果上げた東京都

 前年と比べると1万5179人の減。死亡数から出生数を引いた人口の「自然減」は89万9845人で過去最大となる。6月には外国人の数を引いた確定値が公表されるが、24年の68万人より減る見通しだ。

 出生数が全国の都道府県で減少する中、東京都と石川県だけが増加した。石川県は能登半島地震による減少への反動だが、東京都は前年から1・3%増の8万8518人で9年ぶりの増となった。小池百合子知事が進める子育て施策による成果だ。

 小池知事は少子化問題を「社会を揺るがす国家的な課題」として対策を優先してきた。24年に導入したAI(人工知能)を使ったマッチングシステムなど、出会いと結婚、妊娠と出産、子育てまでの「切れ目のない支援」に26年度予算の2割強に相当する2兆2000億円を充てている。近県から結婚、子育て環境が整う東京都に転入しようという若い人も増えている。

 少子化対策は、全国の自治体がそれぞれ工夫を凝らしながら取り組んでいる。しかし、なかなか効果が上がらないのは、出産適齢期の女性が都市部に出て行くためだ。加えて予算規模に限界がある。

 大阪市の予算に匹敵する額を少子化対策に充てることのできる東京都への一極集中はさらに加速しかねない。一極集中は、国全体として見れば人口減に拍車を掛けることになる。東京都と他の道府県との格差を是正するため、国が東京都の成果を参考に、切れ目のない支援、特に出会いと結婚の支援を先頭に立って行うべきだ。

 25年の婚姻数は50万5656組で2年連続増加したが、コロナ禍後の一時的な傾向の可能性がある。政府は年3兆6000億円規模の少子化対策に取り組むが、結婚を望む若い世代に応えるため、彼らの所得を増やす、より大胆で実効性のある施策が求められる。

 少子化は国立社会保障・人口問題研究所の将来推計より17年ほど早く進んでいる。晩婚化や未婚化、出産年齢の高齢化などが主な原因だが、その背景に指摘されるのは価値観の変化、多様化である。さまざまな施策を進めるとともに、価値観の問題に切り込んでいかなければ、長期的で根本的な解決は難しい。

 意義強調に問題はない

 結婚の意義、家庭の価値などを再度確立する必要がある。価値観や家族のあり方の多様性が吹聴される中、政府が国民に結婚、出産を奨励するのは価値観の押し付けだと反発の声も出るだろう。

 しかし、結婚には新しい命の誕生につながる最も普遍的な価値がある。その意義を強調することは、例えば健康寿命の増進を図るのと変わらない自然なことだ。しかも最終的には個人の自由な判断に委ねられ、何の問題もないはずだ。

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