
日本と太平洋島嶼(とうしょ)国による防衛担当閣僚会合が東京都内で開催された。この会合は2021年に初めて開かれ、今回は24年に続き3回目。東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国も新たにオブザーバーとして加わり、過去最多の28カ国と1機関が参加した。
会合は、太平洋での影響力を拡大させている中国を念頭に、島嶼各国との連携・結束を強めるとともに、海洋安全保障の分野などでの協力推進を確認する狙いがある。
若手の安保人材を招待
会合に出席した小泉進次郎防衛相は基調講演を行い、太平洋を「法の支配に基づく、自由で開かれた平和の海」として共に守り抜くため、結び付き・連携を強化する重要性を強調。そして海面上昇などの環境悪化や政治的威圧・偽情報などの氾濫に言及し、さらに海洋秩序が挑戦を受けていると指摘した。
人的交流や、気候変動、サイバー攻撃への対応などを通じ「平和と繁栄を脅かす、いかなる危機や危険に対しても立っていられるよう、自律的で強靭(きょうじん)な地域を共に築き上げていきたい」と呼び掛けた。またロシアのウクライナ侵攻から4年となることに触れ、「力による現状変更は許されないという意思を共有したい」とも訴えた。名指しこそしないが、中国をも意識しての発言だ。
会合ではシーレーン(海上交通路)の安全確保を含む海洋安全保障や災害対処、気候変動問題への取り組み状況について議論が行われた。また新たな事業として、島嶼国で安全保障政策の立案を担う若手・中堅を日本に招待する「次世代リーダーシップ安全保障プログラム」を始めることも申し合わせた。人材受け入れはフィジーなど3カ国から始め、1週間ほどの滞在中に意見交換や部隊の視察を行うことを検討する。
空母の保有など海軍力の増強を続ける中国は、第1列島線の台湾を越え、第2列島線進出の動きを強めている。
今回、会合に参加した島嶼国の多くは第2列島線の周辺に位置しており、中国は経済支援や投資、安全保障協定の締結などを通して、経済、軍事の両面で自らの影響力を拡大しようと工作を活発化させている。裏を返せば、島嶼国は中国の太平洋進出を阻む戦略的要衝でもある。
一方、トランプ米政権はこの地域への関心が薄く、また対外援助の削減も進めており、それが中国に付け込む隙を与えている。それ故、米国の足らざるを補い、島嶼地域への中国の進出を阻むためには、日本が主導力を発揮する必要がある。
海洋プレゼンスを示せ
具体的には、島嶼国への政府開発援助(ODA)や防衛装備品を無償提供する政府安全保障能力強化支援(OSA)などの政策に力を注ぐとともに、防衛担当閣僚会合や1997年から3年ごとに開催されている「太平洋・島サミット」などの場を通して、人的な交わりやコミュニケーションを深めることも意義ある取り組みである。
さらに、海上自衛隊の遠洋航海や親善訓練などの機会を通じて、日本の海洋プレゼンスを島嶼地域で示すことも重要だ。






