トップオピニオン社説冬季五輪閉幕 大躍進を支えた強化戦略【社説】

冬季五輪閉幕 大躍進を支えた強化戦略【社説】

閉会式に入場する日本選手団=22日、ベローナ(時事)
閉会式に入場する日本選手団=22日、ベローナ(時事)

 ミラノ・コルティナ冬季五輪が閉幕した。ロシアのウクライナ侵攻が続く中でも、フェアプレーの精神で平和の祭典を盛り上げた選手や関係者に拍手を送りたい。特に日本選手たちの活躍、あっぱれな戦いを称(たた)えたい。

国が強力にバックアップ

 日本選手団はメダル総数24個(金5、銀7、銅12)を獲得し、過去最多だった2022年北京五輪の18個を大きく上回った。金メダルも1998年長野五輪と並ぶ過去最多タイの5個を獲得した。国・地域別の獲得数は第5位となる大躍進だ。

 メダルラッシュの牽引(けんいん)役となったのがスノーボードだった。全体の4割近い9個を獲得し、男子ビッグエアの木村葵来選手を第1号に金メダルは4個。スノーボードは今や日本の新しいお家芸とも言えるが、今大会での活躍に刺激されて若い選手がさらに育つことを期待したい。

 フィギュアスケートでも、過去最多のメダル6個を獲得。男子の鍵山優真選手(銀)、佐藤駿選手(銅)、女子の坂本花織選手(銀)、中井亜美選手(銅)ら複数の日本選手が表彰台に立つ姿は、フィギュア王国としての実力を示すものとなった。

 このような歴史的大躍進は、何より選手や各競技団体(NF)の努力によるものだ。そして、日本オリンピック委員会(JOC)によるコーチ制度の改革と100億円規模の強化費がその土台となった。スポーツ庁は五輪の「重点支援競技」をランク付けしているが、今回、フィギュアスケートのペア、スノーボード男女ビッグエアなど、強化費が上乗せされる最高位の「Sランク」に加えられた競技でメダルラッシュとなった。国が選手たちを強力にバックアップする態勢をさらに拡大すべきだ。

 過去最多のメダル獲得以上に、日本選手たちのあっぱれな戦いぶりは大きな感動を与えた。フィギュアスケート・ペアで日本初の金メダルを獲得した「りくりゅう」こと三浦璃来、木原龍一組の逆転劇は、日本人だけでなく世界の人々も感動させた。ショートプログラムで5位と出遅れたものの、落ち込む木原選手を三浦選手が力強く励まし、フリーで完璧に息の合った渾身(こんしん)の演技を披露した。

 スポーツは筋書きのないドラマとも言われる。選手の大会に懸ける思いはさまざまであり、それぞれにドラマがあった。特に五輪は特別な舞台だ。そこに向けた4年間の努力の結果が出て報いられることもあれば、そうでない時もある。

 成績として実らなくても、その悔しさを次へのバネにするなど、忘れ難い貴重な経験として胸に刻んだはずだ。結果を選手たちが受け止め、次に向かう姿勢もテレビなどで伝えられた。

歴史と文化を世界に発信

 今回は芸術の力を強く印象付ける大会でもあった。音と色彩の豊かな開会式、ヴェローナの古代ローマの遺跡で開かれた閉会式は見事なものだった。改めてイタリアが美術や音楽の発祥地であり、今も力強い発信地であることをアピールした。

 歴史と文化を誇りにしながら新しいものを創造し、世界に発信していくという姿勢は、同様に豊かな歴史と文化を保持する日本も学ぶべきものがある。

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